「人時生産性と顧客満足度の両輪で勝ち抜くために」
「伊藤先生、人時割LSPで、現場の動きがここまで、はっきり見えるとは想像もしなかったです。道半ばですが、たくさんのチャンスが見えてきました」
と目下、プロジェクトで様々な取り組みをしておられる、チェーンの社長からの報告です。
―――それはよかったですね、これからが業革本番です。頑張っていきましょう!とエールをおくらせていただきました。
きっかけは、人口減少の中、集客やチラシ、新規商品導入への取り組みを目いっぱいやってきたが、このままではでは伸び続けることは難しい。
…何か別の方法を考えなくてはと、悩まれた末、この業革への取り組みを決断されました。
半世紀にわたり 言い続けられた「規模の拡大・売上の拡大こそがチェーン経営成長の証」という神話が崩れ去りました。売上だけに頼ろうとすれば、そこには臨界点があって、ある日突然、前年割れをおこし始めた時に、壊れるほどの衝撃の強さを感じた方は多いと思います。
人時生産性が、その企業力を表す時代になり、作業ひとつひとつが、どう売上に関係してくるのか、本来かけるべきところに手を入れられない理由はなにか?
この課題が未解決のまま、少子高齢化による人手不足と売上減で、経営状況は厳しくなっています。
では、一体どこから手をつければいいのか?となると、これまた見えにくいのです。
この、なんとも もやもやして、もどかしい、心の片隅にあったものに着目し、情熱をもって、導入したことがひとつの結果に繋がったと言えます。
先の社長の店舗は 昨日今日出来た店ではなく、10年20年以上と営業を続けてきた店舗です。
店舗では、満足いくお買い物ができるように、人時生産性を高める努力を企業としてやっているか?ということが、365日お客様に試されています。
そこで重要なのは、現状来てくださっているお客様の願望を、客観評価し、それを改善していく仕組みがあるかどうか?という点です。
これをキチンと準備し調査していくと、5段階で2.5以下という厳しい結果がでてきたりします。
「え?こんなに低いはずがない」といったものがズバリ出てくるのです。調査対象となった店長にとっては大変不本意でしょうが、これは、ある意味正しく評価されている証拠であり「そのまま続け評価を上げる努力をしてください」と申し上げています。
そこには、どこから改善していけば良いのか?というヒントが書かれ、同時にまだまだ伸びる余地が見えてくるからです。
それは、レジのスピードの速さ、正確さ。や お店の清潔感。商品鮮度。品切れがない…。といった項目にもとづいた対顧客満足度調査となります。
「うちは、広域チラシをまいて、新規顧客を呼んでいるからそういった調査には必要ない」という声も聞こえてきそうですが
現状の、お客様も満足させることが出来ないような店が、新規顧客開拓をしたり、広範囲にチラシを低価格で訴求して、流動顧客を集め売上をあげることができたとしても、それは3日と続きません。
必要なのは貴社のお店を選んできているお客様の真意を知ることにあるからです。
このような、定点調査をしておくことで、新規競合が出たとしても、自社の顧客満足度が評価としてわかってさえいれば、どこを直していけばいいのか、手の施しようがあります。
こういった手法を持たない企業が、価格競争といった高コストの戦いに巻き込まれ、自滅していくのです。
間違っても、新規競合が出来たからと言って、やってはならないのは、日替わりチラシを増やしたり、価格値くぐりを頻繁にやったりすることです。
理由は簡単で、無謀な低下価格戦略で上がるのは、売上・客数ではなくコストだけだからです。
「そんなこと言ったら、やられっぱなしで 終わってしまうのでは」という声も聞こえてきそうですが…
―――チラシの日替わり価格で、安売りを競うのは、過去のやり方です。と私は、はっきりと申し上げております。
前述のとおり、安売りにかかる人時は膨大で、少子高齢化の時代に、戦略人時が確立されていない企業では、低価格プログラムで収益は上げることはできないからです。
店舗の営業自体は、その後も続くわけで、たった1日のために、原価割れの商品を山積みして売る相手に対して、目くじらを立て対抗したところで、大量のロスと人件費を無駄に使うことになるからです。
大事なことは、こういった時に、損益分岐点に食い込まないように、人時生産性の高い状態を、人時割レイバースケジュールで、回る仕組みのトレーニングを重ね、低価格攻勢の挑発に乗らないことです。
人時生産性をコントロールできるようにしておくということが、最強の競合対策になるということです。
現状、競合出店に遭遇し、中には、閉店の道を選ばざるえない店も当然出てくると思います。
しかし、閉店というのは、再起復活の格好の場であり、次に同じことを繰り返さない為に、人時生産性を知る機会を得たと言えます。
そこには経営者としての苦渋の決断があるからで、そこに込められた悔しさ,想いといったものが再生のきっかけとなるからです。
撤退・閉店の理由は様々ですが、家賃が高い、立地が悪い、契約更新の不可、等々と、こちらではどうしようもないマイナス部分にばかり目が行きがちです。
見方を変えれば、自社の範疇でできる部分についての改革すべきことがあったのではないだろうか?と振り返ることが出来るということです。
批判を恐れず申し上げるとすれば、家賃交渉や原価引き下げに投じる時間があるなら、自社のムダを徹底的に排除し生産性を上げることから、手を付けるべきと、申し上げています。
「うちはこの人時生産性でやっているので、他よりも貴社の商品を数多く売ることが出来ます」とか「うちは十分に生産性がとれているので、不毛な家賃交渉はしません」と宣言したほうが、
余分な時間使わず、多くのサプライヤーやオーナーの協力を得て、早期に利益を上げられるのもまた事実なのです。
今、多くの企業が、やるべきことが人時生産性の中にあることにすでに気づき、そこから着手して、業績回復されている企業はここ数年で確実に増えています。
先の社長はそこまでやりたい、という強い想いがあったからこそ、このさき10年の予想図が描け、その成長戦略について確信をもつことができたといえます。
さあ、次に 成長戦略を描き 強い店舗づくりをするのは あなたの番です。
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