価値の源泉を知る
飲食、サービス、小売業を問わず、店舗における効果的な販促として「限定施策」があります。「限定施策」とは、そのままズバリ書いて字のごとく、限定にすることで希少性を高める方策です。
例えば、数量限定、店舗限定、期間限定、顧客限定などですね。これは皆さんも提供する側、される側として経験があるのではないでしょうか?
「限定施策」は今も昔も非常に効果的な販促です。人はその本能として希少性に惹かれます。商品を購入できる数、場所、時間、人が限定され、手に入れる機会が非常に少ない場合は、それまでは興味がなかったモノやサービスでも心が動くことがあるでしょう。
そもそも価値の源泉は、先述の「希少性」、そして「有用性」、「適時性」の3つにより成り立っています。希少性はすでにご説明したとおりです。また有用性に関しては、その人にとって役に立つことと解釈することができます。適時性はその人にとって欲しいその時に手に入ることといえるでしょう。
価値はこの希少性、有用性、適時性がそろって初めて高まります。いくら数が少なくても、全く役に立たなければ人は価値を感じません。それとは逆に、役に立つとしてもどこにでもあるようであれば、価値は低くなります。そして希少性、有用性を兼ね備えていたとしても、「その時」に手に入らなければ無価値となります。
「限定施策」を効果的におこなうためには、価値の源泉を知ったうえで実行することが肝要となります。ただ単に数や場所や時間や人を限定してもあまり意味はありません。それどころか限定施策を考えなしにやってしまうと、単なる品ぞろえやサービスが行き届いていない「レベルの低い店」と認識されてしまう恐れがあります。
当たり前の話として、自店が提供しているモノやサービスがお客様にとって有用である、つまり役に立っていなければ繁盛店にはなれません。限定施策をおこなうには、ここがポイントとなります。
誰からも支持されていないようなモノやサービスを限定にしたところで、ますます売れなくなるだけです。繁盛店になるには、まずできるだけ多くのお客様に貢献し、満足を与える商品を提供することにかかっています。
それができて初めて、限定施策をおこなう意味がでてきます。ただし、注意すべきは、安易で人為的な限定施策はお客様の反感を買うこともあるということです。現在、お客様はかなりの情報を持っています。店舗側が薄っぺらな限定施策をやっても、ほぼ確実にお客さまからは見透かされ、顧客離反の原因ともなります。
ですから、限定施策を「思い付き」の「行き当たりばったり」でやっては絶対にだめです。しっかりと1年間の計画をもとに、価値が伝わるようにおこなう必要があるのです。間違ってもその日その時の安易な思い付きで「限定10個」や「3日間限定」、「地域限定」などとやることがないようにしましょう。
お客様は間違いなく、店舗の利己的な動機を見透かしています。そして何も言わずに去っていくのです。
コラムの更新をお知らせします!
コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。