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経営者の『決断』。どちらも正解。どちらを選ぶのか

SPECIAL

『業績3年 先行管理』の仕組みづくり専門コンサルタント

株式会社 勝負ポイント

代表取締役 

 指導暦12年。オーナー企業を中心に約170社の指導実績をもつ経営コンサルタント。独自の『業績3年 先行管理』の手法を通じて、中小・中堅企業が持つ属人的な稼ぐ力・育む力を、再現性の高い仕組みに進化させる。この仕組みは、人間の特性を活かしたものであり「社員が自ら動き出すようになった」「管理の弊害が少なくなった」「目標達成が当たり前になった」と多くの経営者が注目している。

既存ルールで 最後までやりきるか 既存ルールをぶち壊し 新ルールを創り出すか

「小島先生。経営者の仕事は、決断することに尽きますね」

「『決断』…。小島もその言葉の重みを少し理解できるようになりました。」

大規模な設備投資を終えて2年。新たな戦い方にシフトした中堅企業。
小島とその経営者様は、近況を報告し合っていました。

限界までとことん考えて決断する。その後も「本当にこれでよかったのか」と自問自答する。それでも前に進む。決断を積み重ね、前に進み続ける。会社を経営する限り、永遠に向き合い続けなければなりません。

今回のテーマは、経営者の仕事『決断』です。
(自戒の意味を込めて書いております)

経営者の決断には大きく二つの方向性があります。
(1)既存のルールで最後までやりきる
(2)既存のルールをぶち壊し、新たなルールを創り出す

今後、御社はどちらの方向性に進みますか。
経営環境や、経営者の価値観の違いによって、判断は変わります。

また、あなたはどのようにその「決断」をしましたか。
※客観的に自身のパターンを観察してみてください。先日、小島もやってみました。意思の力で決めていると認識していたことも、実際は欲求・感情で決めていました(現段階の認識です)。皆さんも観察してみると、面白い発見があるかもしれません。

「決断のプロセス」を手順として書き出すと
   ①情報(判断材料)を集める
   ②判断軸(価値基準)を決める
   ③判断しどうするか決心する
   ④決めたことを実行する
 という流れで説明できます。

しかし、実際にはなかなか教科書通りには行きません。

  • 長年培ってきた皮膚感覚で、驚くほど瞬時に意思決定する経営者さま
  • 経営理論に当てはめ、感情を押さえロジックで意思決定する経営者さま
  • 直感をヒントに、ロジックで整合性を確認(理由付け)。自身を納得させながら意思決定する経営者さま
     

など、他にもいろいろなパターンが見えてきます。

 

あなたはどのようなパターンを持っていますか。
そして、二つの方向性。どちらを選択していますか。

■【 決断1 】 既存のルールで最後までやりきる

あなたは「こちらを選択している」と感じたかも知れません。
実は、本当にこの決断を選択している経営者は少ないものです。再度確認してみましょう。

ある事例です。その経営者様は、十数年前に特定の古いプログラミング言語に特化すると決断。「技術者の生活を守ること」を使命に、システム開発・運用の技術者派遣企業を経営しています。競合の技術者が新しい言語にシフトする中、既存のルールで最後までやりきることを決断しました。

金融機関、公共機関などが利用している大規模基幹システムは、今でも古いプログラミング言語で動く汎用機を使っています。当然ながらソフトを更新しなければ動かなくなります。現在、多くのシステム会社において、この言語を扱う技術者は定年退職しています。技術の継承もできていません。このニーズを確実に掴み社会に貢献しています。(当然のことながら、既存のルールの中で、新たな戦い方を模索し、実行しています)

あなたの決断は、本当に「既存のルールで最後までやりきるもの」になっていますか。

■【 決断2 】 既存のルールをぶち壊し、新たなルールを創り出す

あなたは「こちらを選択している」と感じたかも知れません。
実は、本当にこの決断を選択している経営者も少ないものです。こちらも再度確認してみましょう。

ビジネス書や雑誌、テレビ、講演会など、メディアに露出する機会が多いのはこちらです。個人向けではメルカリやAirbnbなど。各種クラウドサービスなどは、法人向けにも利用が広がっています。

「総務・人事・経理業務はアウトソースすることが当たり前」、「経理が自動仕訳を使わないなんてありえない」という時代がやってきます。「AIに聞いてみます」とか「AIがやっているので良く分かりません」と社員が言い出すことも時間の問題でしょう。

あなたの決断は、本当に「既存のルールをぶち壊し、新ルールを創り出すもの」になっていますか。

■ 多くの経営者は、どちらを選択しているのか。

答えは、簡単です。

方針では、どちらかを掲げているケースもありますが、実態が伴っていません。結果として両方を選択し、どちらも中途半端になっているというものです。

特に多いのが、「現状を打破せよ!新たなルールを創り出す!」と宣言しつつ、「既存のルールを遵守」させている会社です。年度目標に「イノベーション」というキーワードが入っていたり、最近では「働き方改革」「生産性向上」というキーワードが入っていたりすると、黄色信号です。響きの良い言葉を使い、自己満足しています。実態がともなっていないケースが多いものです。

この傾向の会社は、次々と新しいプロジェクトを発足します。そして、既存業務に付加する形で運営されます。既存業務でいっぱいいっぱいなので、プロジェクトは十分に吟味されません。形式的に活動が進みます。互いに不平不満を蓄積しながら、結果もでません。新年度を迎えると、また新たなプロジェクトが立ち上がります。この繰り返しです。そして「活動モドキ社員」が増殖します。「成果が出る」と誰も信じていないプロジェクト。成果が出るわけがありません。

経営者の立場からすれば、「何度言わせるんだ。本気になってやれよ!」「受身社員ばかりだ。もっと主体性を持て!」「当事者意識はどこにいったんだ!」とイライラすることでしょう。

しかし、こうなる原因は、経営者にあります。

経営資源は限られています。また、社員は自ら仕事をやめる決断ができません。そこで、経営者がやめることを宣言し、実際にやめさせなければなりません。これができていないからです。

やめる業務を明確化し、それを徹底してやめさせることが大切です。やめた時間を新たなプロジェクトに投入するなど、納得度と実現性を高める後押しをします。

どちらも選択しない会社(=現状維持)は、とても危険です。近い将来、市場から撤退せざるを得ないことは明らかでしょう。なぜなら、環境が変化し続ける限り、環境に適応できなくなります。つまり衰退するからです。

使い古された言い回しですが、
『決断』は、「決めて」+「断つ」と書きます。
安易に決めるだけでは、決断ではありません。
何を断つのか明確にし、実際に断たなければ前に進めません。

また、どちらの決断を選択したとしても、長期的には正解です。短期的に期待する結果がでるかどうかは分かりませんが、中長期的には次に活かすフィードバックがあるだけだからです。(フィードバックを活かせなければ、どちらも失敗です)

決断しないことが、一番の損失です。
これだけは避けていただきたいものです。

「決断する」とは、実行まで含まれています。実行しなければ、決断したとはいえません。

実行に移すには、関係者に認知させ、実際に行動に移すための仕組みも準備する必要があります。例えば業績3年先行管理のように。

経営者の決断を伝える仕組み、実行を促す仕組みがなければ、経営者と社員の認識ギャップは埋められません。そして、実行されません。

①情報(判断材料)を集める … 経営者だけでなく、組織全体で情報を集め共有する
 ②判断軸(価値基準)を決める … 経営者の決断を判断軸として明確にする
 ③判断しどうするか決心する … あらゆる仕事をこの判断軸で判断し決定する
 ④決めたことを実行する … 決めたことを常に意識し行動に移せるようにする

御社のマネジメントの仕組みにこの4つの視点は網羅されていますか。新しいマネジメントシステムを導入するか、否かも、経営者の決断が必要です。

今回のテーマは、経営者の重要な仕事『決断』でした。小島自身も決断が遅れ「もっと可能性があったのに…」と後悔することがあります。今回はその自戒の念を込めてコラムを書きました。

今年もあと2ヶ月ですね。小島は毎年年末に三日ほど日程を確保し「ひとり作戦会議」を実施します。2018年を振り返り、2019年をどのように過ごすのか?

まずは、この決断のための時間(スケジュール)を前もって確保してください。そして、自分自身を見つめ、役割・使命を再確認する。教訓を抽出する。そして、決断をしてみてください。

あなたは何を決断しますか。何を断ち、どのように進みますか。

 

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