組織をつくらねば、と決意を固めた時の第一歩は、ずばり!
最近、当社へ相談に来られる方の質が変わってきていると感じます。
「若い」、「ベンチャー」。
私もコンサルティング業界では、かなり若い方だと「思っています」。
そんな私より、若いのです。30代、40代前半。
そして、ベンチャー。
事業内容をお聴きすると、その着眼に驚かされます。
そんなところに市場があるのだ。そんな価格設定で!そんな座組で!そのビジネスの『からくり』に驚くばかりです。
私のなかで、そこに確信が生まれます。
多くの企業が素晴らしいビジネスモデルを持っています。
そして、その多くの企業が、組織をつくれずに長い停滞期に入ります。
組織をつくる手順は、実にシンプルです。
「その目的を明確にすること」
これが、組織づくりの第一歩となります。
何を実現するためにこの組織があるのか、を決めることが必要です。そして、それを掲げる必要があります。
- 我々は、〇〇でお困りの方に、〇〇というサービスで貢献する。
- 〇〇の分野で、最先端の技術を開発する。
- 〇〇をより世界中の人たちにお届けする。
このような目的を与えることが組織づくりのスタートになります。
「組織」という言葉を辞書で調べてみると明確にそれが書かれています。
組織:一定の共通目標を達成するために、成員間の役割や機能が分化・統合されている集団。
明確にそれが書かれています。組織=集団+目標と。
集団を調べてみます。
集団:人や動物、また、ものが集まってひとかたまりになること。また、その集まり。群れ。
集団に、「目的」を与えると、組織になります。
目的を与えないと、集団は集団のままです。集団生活、集団下校、そんな会社になってしまいます。残念ながら「目的」を示さないために、組織化が一向に進まない会社が多くあります。集団並みの企業が多くあります。
まず、スタートは、「目的」を定めることになります。
この「目的」のことを、『理念』と表現する会社もあります。
多くの会社が、理念を掲げています。
しかし、残念なことに、全くその効用を発揮しない理念も多くあります。
その理念では、組織の「目的」にはならないのです。
組織には、必ず『奉仕』する対象があります。
すべての組織には、自分以外のものに貢献することが存在意義となります。
この組織の目的は、事業定義とイコールになります。
「この事業は、〇〇という課題を持った人に、自社の〇〇という特色あるサービスを提供し、〇〇を実現する」となります。
これを事業理念といいます。
そして、この事業理念を実現するために、組織のすべてが統制されていきます。
ここで確認しておくべきことは、経営理念と事業理念は、まったく別物であるということです。
事業とは、事業モデルの「事業」であり、「あるお客様に一生懸命にサービスを提供し、しっかり儲けること」です。
それに対し、経営では、バランスも考えなければなりません。
中長期で、どの事業を伸ばし、どの事業を縮小するのか。事業の成長のために、労使の関係はどうあるべきか。その成長のために、地域や環境との関係はどうあるべきか。
経営理念は、その名の通り「経営の理念」です。
経営者が従うべきものとなります。
事業理念は、その事業に参加する社員や協力業者が従うものになります。
組織をつくるうえでは、「経営理念」は、全く役に立ちません。
組織に必要なのは、「事業理念」となります。
これを混同して、経営理念を、組織の目的に置き換えてもダメなのです。
経営の理念を、社員に唱和させてもいけません。役員会の前に、唱和するならアリです。
社員に唱和させるなら、事業理念になります。
「我々は、〇〇という課題を持った人に、自社の〇〇という特色あるサービスを提供し、〇〇を実現します!」
これなら困っている人の表情がイメージできます。そして、どうお役に立つかもイメージが持てます。そして、それを実現した時に、世の中がもっと良くなっていることがイメージできます。
ここに、自分たちの仕事に対する確信と自分たちの存在意義を見い出すことができます。
組織化する大きな目的のひとつに『分業』があります。
ある業務の塊を、その専門部門が受け持つことで、「専門性を高めること」、「効率を高めること」を得ることができます。
分業の益を得るためには、分業を機能させるための仕組みが必要になります。
業務の見える化やデータベース化などを進めます。
そして、その一方では、『統制』の仕組みをつくることになります。
分業とは、組織を「バラバラ」にすることです。
横に、縦に、バラバラにしていきます。その「バラバラ」のままではいけません。
そのバラバラの部位に、協力してもらう必要があります。
全部門、全構成員が、同じ目的を持って協力し合う状態です。
そのための『統制』です。
「分業が機能する」状態の裏には、必ず「統制が機能する」状態があります。
『分業』の仕組みづくりに取り組むということは、一緒に『統制』の仕組みづくりに取り組むことになります。それは、全く別のものとなります。
『分業』の仕組みだけに向かっていると、当然バラバラになります。時間の経過とともに、さらにバラバラを強くします。
個人の権利主張が助長されたり、部門間のセクショナリズムが強く出たりとなります。自部門の都合ばかりを優先し、協力しません。また、変化に対し強い抵抗感を見せるようになります。表立って抵抗はしませんが、情報伝達を阻害したり、実行を遅らせたり、という「工作」を行います。
この『統制』という面でも、目的が効力を発揮することになります。
「我々は、〇〇という課題を持った人に、自社の〇〇という特色あるサービスを提供し、〇〇を実現します!」
異なる意見も、向かう先さえ一緒であえば、どこかで収束させることができます。
何かの問題が起きた時も、優先すべきものは明確になります。変化するお客様に対応するために、自社も変化が必要なことが解ります。
共通する目的があるからこそ、協働ができるのです。
共通する目的が解っているからこそ、役割分担ができるのです。
この目的を、忘れた時に、組織は病を発症することになります。
その奉仕すべき対象を、「悪く」言ったりします。さらに進むと、自分たちの「組織」の都合を優先するようになります。
昨今見られる「大学」や「企業」、「役所」の事件は、すべて奉仕すべき対象を忘れた結果起きています。分業が進んだ大きな組織で、目的を忘れたために、その統制機能が無くなったのです。
大きな組織ほど、統制が必要です。その統制とは、「抑制」的な意味ではありません。奉仕すべき対象、その事業定義という方向性による誘導なのです。
今現在のベンチャー企業も、いつかは「普通の会社」になる必要があります。
嫌とか、かっこ悪いという社長のわがままは通用しません。
そのサービスが世に受け入れられ、広がって行くと共に、そこで働く社員の数も増えていきます。その時には、分業と統制が必要になります。
そして、更に大きくしていくと、また、分業と統制をそれに見合ったものにしていきます。否応なく、大きい企業になっていくのです。
それぞれのステージでそれに向かわないと、ベンチャー企業は、崩壊を迎えることになります。
いつの間にか、創業メンバー間の関係性は、変わってしまっています。社長と他の役員という関係です。経営者と数名の職人です。昔のようなノリもありません。
次の刺激を求め、一人が抜けると言い出します。次々と、能力のある創業メンバーが抜けていきます。そして、最後まで残った誰かがババを引きます。
その最後の一人は、だいたい資本金を一番多く出した「社長」となります。
その時には、「停滞している年商」と「属人的にこなされる業務」が残されることになります。
つまらない組織を作るつもりはありません。
社長が示したひとつの目的に向けて、熱意と創造性と規律を持った組織を作るのです。
今日も、1件の面談が入っています。
毎日、新しいビジネスの「からくり」に驚かされています。
そして、そこにすべてを投じようとする社長の熱意に驚かされるばかりです。
そんな社長にこそ、組織の作り方を身に付けていただきたいのです。
組織の作り方もその運営も、科学です。やることをやれば、その通りになります。それ故に、スキルとして習得が可能です。
その能力を使って、ビジネスを更に大きくしていきます。御社のサービスを必要としている人は、もっと沢山います。
そして、もっと多くの人に、自社で働いてもらいましょう。活躍と成長ができる環境を、提供できます。
そこにこそ経営者の正しい考え方が必要になります。
自分が生み出した会社が、やるべきことは何か。
自分の会社で、絶対にやりたくないことは何か。
それが経営理念となります。
経営理念が、社長に「統制」をもたらします。また、役員メンバーにも統制をもたらします。その時には、再度、役員との協働が可能になります。
協働:同じ目的のために、対等の立場で協力して共に働くこと。
社長と社員の関係、社長と役員との関係、すべてを作り直す時期に来ています。
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