常識を疑ってかかれ
人事制度は特別なものと考える経営者が多いようです。そのため、人事の専門家に評価や賃金について学ぼうとする傾向が今でもあります。
たとえば、日本の雇用システムの特徴として、「終身雇用」「年功序列」そして「企業別組合」の3つがあるといわれてきました。
そして最近では、終身雇用は既に崩れたという話や、年功序列型賃金ではもう通用しない、こういった内容を耳にすることは少なくありません。
仮に、今では終身雇用は日本の雇用システムとは言えないと聞いた経営者は、どのように考えたらいいでしょうか。中小企業の経営者とお会いすると次のような話を聞くことが多いです。
「何らかの縁があって入社した社員には、できるだけ長く勤めてもらいたい。60歳を過ぎても、いや、元気であればいつまでだって働いてもらって構わない」
この経営者の発言は、明らかに終身雇用を考えています。いえ、「いつまでも働け」と言っているのではありません。「元気だったらどうぞこの会社で仕事を好きなだけしてください」と話しているのです。
終身雇用がその社員の人生を縛ることになると言っている方もいるようですが、この経営者はそんなことは考えていません。このようなさまざまな情報の中で、経営者は経営者らしく考えて行動すれば良いのだと私は考えます。
私も自分の会社の社員には好きなだけ働いてもらいたいと考えていますし、何かのご縁で入社した社員ですから、1日でも長く勤めてもらうことが嬉しいことなのです。
自分がそう思っているにもかかわらず、それを否定する専門家の言葉を聞くと自分の信念に揺らぎが生まれる可能性もあるでしょう。
しかしすべてのことはこの今経営をしている会社が、社員が元気に成長し業績を向上し、つまり世の中に大きな貢献をしているのであれば、何ら間違っていないことを教えてくれることになります。
経営は実践です。
実践することすべてが成功するわけではありません。
しかし、その実践の中でこの会社の存続発展を保障する業績であるとすれば、経営者として実践していることは間違いないと思っています。
日々、経営者に提供されている情報。
それは本当にそうなのかと情報を疑ってみる習慣を持たなければ、自分の経営を間違った方向に進めてしまう可能性があります。
「おや?」と思ったら、本当にそうなのかと疑ってみることがとても重要です。
ノーベル医学生理学賞を受賞した本庶教授は「常識を疑え」と語っていました。命を預かる研究だからこその発言です。社員の人生を預かっている私たちもそう考える必要があります。
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