実店舗で生き残る方法
今さらですが、私は店舗ビジネスをメインとしたコンサルティングをおこなっています。
“店舗”ビジネスというだけあって、基本的には実店舗がメインのビジネスといえます。現在ではアマゾンや楽天など、ネット通販の巨人が台頭していますが、その彼らもアマゾンGOや書店など次々と実店舗を出店し、さまざまな業態を試行錯誤しています。彼らも実店舗の重要性は当然理解しているゆえの戦略でしょう。
さて、実店舗の強みとは一体何でしょうか?これがわからなければ、今後はネットをはじめとした新しい業態に間違いなく食われていきます。
私の考えでは、実店舗の強みは「その人が、その時、その場所でしか購入、体験できないモノやサービスを提供すること」です。つまり、本人がその時間に、その場所にいることが必要不可欠であり、なおかつそこでしか提供されないモノ、サービスであること。これが実店舗の大きな、そして唯一ともいうべき強みとなるのです。
誰でも、いつでも、どこでもOKなモノやサービスはすでにネットに移り変わりつつあります。前述のアマゾン、楽天などの小売店舗はモノを扱いますからネットとは非常に相性がよい業態です。他方、サービス業でも、基本的に視覚と聴覚メインのサービスは、実店舗でなくとも提供することは可能です。例えば行政や税務などの手続き業務、銀行などの金融サービス、ネット上で授業を行う教育サービス、映画、書籍、漫画などのエンターテインメントなどなど…
人はいわゆる五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)を使って体験すると記憶に残りやすくなります。アタマだけではなく、全身で感じることは、感情に対して良いも悪いも大きく影響を与えるのです。
ここから当然の帰結として、今後の店舗ビジネスで特に注力すべきは、お客様に五感をフルに使ってもらうことです。わざわざ店舗まで足を運んでもらい、モノやサービスを購入していただくには、五感を使った素晴らしい体験を提供しなければ、お客様のリピートは望めず、他店との競争にも負けてしまうでしょう。
もしあなたの店が、アマゾンや楽天と同じものを売っているのであれば、なおさらサービスの独自性が必要になります。スマホを1回タップすれば、家まで持ってきてくれる時代です。利便性ではまず勝てません。
店舗の外観から内装の装飾、心地よいBGM、スタッフや連れとの会話、商品や店舗の匂い、提供する料理のうまみ、カーペットの感触や椅子の座り心地、ジャケットの風合い…などをリアルに体感することは、ネットでは到底真似できない圧倒的な価値を生み出します。
それにくわえて、実店舗における一番の強みの源泉はフェイスtoフェイスのコミュニケーションです。チャットなどの文字上だけでなく、ビデオ通話などの画面上だけでなく、実際にその時にその場で、目の前の人と会話ができることは無限の可能性を秘めています(アマゾンGOは言うまでもなく、スーパー、コンビニも今後省人化、無人化が進んでいく中、人のサービスは間違いなく価値が上がります。もちろんレベル次第ですが)。
五感を使い、さらにコミュニケーションで素晴らしい時間を共有できればお客様は必ずリピートします。実店舗でしなければならないことは、まさにこの体験を提供することなのです。
店舗経営者の皆さん、これから、特に実店舗では「価値ある体験」を提供しなければ絶対に生き残れません。そのために今、何をしていますか?
まさか今までどおりでやっていけると思っていませんか?
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