判断は戦略に従う
「後藤さん、弊社としては案1で進めようと思います。案1では、他社が類似商品を出しても侵害かどうかの判断が難しいと思いますが、当社は他社品を排除することが目的ではなく、開発製品を広く世に広めることが目的で、特許製品であることをアピールできれば良いと考えています。」
これは、先日特許出願をされた会社の方が、拒絶理由通知への対応案を示した際におっしゃった言葉です。
明細書作成いただいた弁理士と相談し、当方からは2案提示し、会社側は(権利範囲が狭くなり、侵害の立証も難しい)より確実に権利化ができる案1をご選択されました。
これはこれで一つの判断ということで、案1で手続を進めるということとしました。
会社の経営や仕事での判断で、「これが普遍的に正しい」というものはないと私は考えています。
上記のケースでは、取得した特許の使い道として、
- 強力な参入障壁を構築し、他社品を排除する。
- 他社品の排除は難しいかもしれないが、特許製品であることをアピールし、技術力を示す。
- 他社との共同開発や製造販売委託におけるツールとする。
等が考えられますが、上述の会社はそのうちの2.を選択したということになります。
これは、正しい間違いということではなく、その会社の方針に沿っているかということが重要であり、2.の判断が方針に沿っていればそれでよいということになります。
アルフレッド・D.チャンドラー博士の有名な言葉に「組織は戦略に従う」という言葉がありますが、さしずめ、「判断は戦略に従う」とでもいったところでしょうか。
戦略がしっかりしていれば、(その会社にとって)的確な判断ができるはずです。
知的財産の取得と活用も、活用戦略が明確であれば、どのような範囲で権利化するかもはっきりしてきます。
明確な方針と戦略を構築した上で、的確な判断をするようにしてください。
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