家庭の不和は役員借入金のせい?
「何で役員借入金が2000万もあるの?
借金付で会社を引き継いだオレが、銀行の借金の他に、親父にまで金を払わなきゃならないのか、全く不思議だよ。
会計事務所は、銀行に見せてもこれなら問題が無いから、なんて言ってたけど、意味がわからないでしょう。税金対策なら、親父の給与自体下げとけばよかったんだ。それなのに先生にはお世話になっているとお袋も言うもんだから…・」
自分の仕事は営業担当。
まずは信用だ。
お客様との関係だ。
会社を引き継いで、とにかく今までの取引先との関係を続けること、が一番
次の仕事は、新規を増やす事だ。
大口の取引先がとれたのだけど…。
すぐに、値引き交渉だ。
ま、大口は、支払がしっかりしているから、いいか。
数字の仕事は、奥さんの仕事。
経理の担当は奥さんだ。
親父の代からの税理士さんに教わって、経理をしてくれ
営業だから、オレの数字は売上だけだ。
資金繰りは、なんとか個人の預金を回してでも、回っていればヨシ。
しばらく苦しいけど、会社が大きくなるまでちょっとガマンしてくれ。
奥さんの不機嫌…、はオレのせい?
子供はすぐ大きくなる。
進学させてやりたい、本人がしたいことをさせたい。
専門学校や大学に行くようになると、個人資金はドンドン消えていく。
それどころか、保険の解約をしなければ、入学金が足りなそう。
お父さんへの役員借入返済も大きいし…、
奥さんからの「お金がないわよ」数ヶ月続いています。
趣味の釣りは、道具にお金がかかります。
当初は、「やっぱり味が違うわね。お父さんの釣った魚」なんて言ってくれたのに、今では「はいはい」「買った方が安いんじゃない。」みたいな…。
さらに、明日は友達と釣りに行く準備にかかっている時を見計らったように、
「あ~ら、いいわね、楽しそうで」
「こんな時になんだけど、学費の件、よろしく」だって。
こっちとしては、仕事も一生懸命にやっていて、家族のために頑張っているのに、そういう物の言い方は無いだろう…、ってついつい思ってしまいます。
ストレスフルなまま釣りに行っても、イライラして結局”坊主”
余計ストレスです。
役員借入金…それ何?
会社を引き継いで、すでに10年。
なんで、親父から借金?
税理士さんに聞くと、税金対策で給与を上げたけれど、払えていないという。
自分の税金対策は、自分のところで完結しておいてくれ!
と言いたいが、老齢の父親に言っても、情けなくなるだけ。
要は、経営の数字を親も自分も把握してなかったから起きたこと。
なんか、急に車買ってみたり、社員旅行言ってみたり、親父の時代は親父なりに経営対策をしたのだろうけれど、資金の流れも、事業承継の事も考えた対策ではなかったワケです。
自分も、子供の成長に合わせたライフワークファイナンシャルが計画されていなかったワケです。
「これ、お父さんから」と奥さんが差し出したのは、保険の証書
進学の学費用にと、自分の役員借入金から毎月払っていた保険の満期が来たからと、渡されたというのです。
「なんかオレの方が、準備が足りてなかったようだな。」
「お父さんは心配してくれているのよ。」
「助かったね」
家庭円満も会社成長も、カネまわりが基本だ
お金のスタンスは、長期です。
私は生まれてから死ぬまで、ズ~っとお金を使います。
稼げていないときも、お金は使っていました。
そう、ズ~っとお金を稼げていたわけではありません。
稼げない期間がありました。
たぶんこれからも、稼げない期間が来ると思います。
実は、会社も同じです。
いいときもあれば、悪いときもある、のです。
景気がいい・悪いだけでなく、自社の商品サービス・お客様対応・価格、皆これでず~っとやっていける、変化しない、事はありません。
変化が常だから、来月・来年の予測とそれに向けての投資が必要になります。
資金の使い方、それは、投資になっているか?と言う視点です。
加えて、会社が生き延びられる資金を留保しつつの投資額か?の視点です。
子供の教育資金は、子供の未来への投資です。
従業員の研修は、会社の未来収入への投資です。
さらに規模拡大に向けた車両の購入は、顧客拡大を狙った収益への投資です。
では、節税は?
今期利益が出そうだから、車買おうか?節税になるし~。
節税が問題なのは、投資ではなく、資金使いキリになること。
もし、利益が100としたら、税金は30、手元には70残ります。
ところが、税金を無くしたくて節税すると、支払は100、手元は”0”です。
経営資金は、投資視点無しで使い切りでは、いけないのです。
小規模経営者にとって、危機管理とは、“キャッシュ”を十分確保していること。
「経営の安定は、定期預金力」と言う言葉は本当です。
もっとも、定期預金を預ける銀行は選別をしなければなりませんが。
よりよくなりたい、安心したい
数字は奥さんにお任せで、さらに外注先の会計事務所に丸投げしてました。
税金経理の外注はしていいけれど、経営者が抑えるべき数字、「投資の数字」は、解っていなければダメだと知りました。
ファミリー企業は資金の長期戦略が必要だと、理解できました。
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