お金でモチベーションを上げる時代の終焉
経営者は社員のモチベーションにとっても敏感です。
ことあるごとに、どうやったら社員のモチベーションを上げることができるか考えています。
マネジメント研修の主なテーマもそこが中心です。
経営者が気を付けるのは賃金です。
そして毎年の昇給・賞与に関しては、特に気を使います。
なぜなら昇給・賞与が増えればモチベーションも上がるし、昇給・賞与が下がればモチベーションが下がると考えているからです。
しかし、その賃金を沢山上げたいと思う社員は全体の2割であり、他の社員にはあまり増やせる状況ではありません。
そのため、多くの専門家が言っている言葉をそのまま鵜呑みにする恐れがあります。
「頑張った社員には出す。頑張っていない社員には出せないし、減らす」
こんな話を専門家から何度と経営者は聞いてきたことでしょう。
つまり、昇給・賞与を増やせない社員は頑張っていない社員だと言い切ってしまっています。
この言葉を発してしまえば、経営者の持っている大前提である
「縁があって入社した社員には、少しでも昇給・賞与を増やしてあげたい」
この考え方を自ら否定していることに気が付いていません。
経営者は社員を少しでも成長させて、少しでも昇給・賞与を増やしてあげたいと経営をしてきました。
ところがその長年の経営を否定する考えを専門家から学んで、組織の中で発信してしまいます。
社員は当然のことながら自分の昇給・賞与には関心があるでしょう。
そのため昇給・賞与が他の社員と比べて低い金額であれば、この会社の経営者は「自分はやる気がない」と判断したと思わざるを得ません。
そしてその通り密かに8割の社員はやる気を失っています。
社員のモチベーションを賃金で上げることは到底できません。
社員をこの会社でモチベーションを上げ成長させることは、世の中に貢献できる社員として成長させることと考えています。
つまり社員を成長させていくことを考えている経営者。その経営者の考え方に沿って社員は1人1人成長し、少しずつ昇給・賞与が増えています。このこと自体を社員に説明しなければなりません。
賃金は比較して下げているのではありません。
社員の成長によって少しずつ増やしていることを説明することによって、社員は安心して経営者の考え方を受け入れることができるようになります。
そしてこの人事制度、賃金制度にまったく関心を持たなくて良くなります。
この会社で成長すれば賃金が増える。そして成長とは、この会社でステップアップし世の中に大きな貢献をしていくことです。
そのことに気が付くようになります。
それからの社員の成長は飛躍的であることを想像するに難くありません。
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