汚部屋の住人の特徴:新しいものを買うのが好き、捨てるのが大の苦手。そんな会社になってはいけません。成長したければ、捨てなさい。
「先生、今月やっと2件受注できましたよ~。DMからセミナー、面談でクロージングという設計通りの流れです。」
この駅に、M社長に迎えに来ていただくのも10回を超えました。
車に乗り込むと、さっそく進捗報告が始まります。
「そうですか。苦労の甲斐がありましたね。」
「それで、すごい商品をもう一つ思いついたのですが、後で企画書を見ていただいてよいですか?」
矢田は、車の外に目を移し、「ダメですよ」と言いたい気持ちを抑えます。
儲かって、大きくなる会社とは、驚くほどシンプルです。
それも呆れるぐらいシンプルです。
そして、そのすべてが理にかなっています。
それを聞いた人は、「なぜ今まで誰も気が付かなかったの」と感想を言います。
または、「やり切った、すごい」とその忍耐に敬意を表します。
それに対し、儲かっていない、小さいままの会社は、呆れるぐらい複雑です。
それも、その規模に相対して驚くぐらい複雑です。
沢山の商品があります。その前に、沢山の「顧客」がいます。
そして、集客方法も沢山あります。ホームページはもちろんのこと、フェイスブック、メルマガ、定期通信など、多くをやっています。
そして、どれもが中途半端です。
会社の代名詞となる商品があるわけではありません。集客方法もこれだというものに定まっていません。更新されていないホームページ、惰性のようなメルマガや定期通信を届け続けています。
この二者の違いから、我々は教訓を得ることができます。
それは、私たちに明確な『指針』を与えてくれます。
『一歩一歩、シンプルに近づける』
儲かって大きくなる会社がシンプルであり、儲かっていない小さな会社が複雑であるのであれば、我々は、『シンプル』を指針にせねばなりません。
今期は、何の商品を廃止するか。
今期は、どのお客様層に対し「お詫び」に回るか。
今期は、どの集客方法を止めるか。
この目標を立てることになります。
そして、それを経営計画書に明記することになります。
この指針からすれば、捨てれば大きく成るはずです。
だから、この『捨てる』という目標を明確に持つ必要があります。そして、一つひとつそれを実行するのです。
それをしなければ、社内は、モノで溢れかえることになります。
社内は、「汚部屋」になってしまいます。
汚部屋やモノで溢れかえる家では、モノを入れるばかりで、捨てることをしません。
買ったモノと、同じ分だけ捨てて、初めて維持ができます。
買ったモノが、捨てる以上に多ければ、増え続けることになります。
これと同じことをしている会社は多くあります。
アイディアが浮かべば、それをすぐに商品化します。
問合わせや紹介があると、どんな人でも「お客様」になります。
メルマガ、アメブロ、次はフェイスブック、インスタグラムと、その時「良い」とされるものを手当たり次第に導入します。
また、管理者から提案された書類、各部が自発的にやり始めた会議、その時々参加して感銘を受けた経営手法、どんどん取り入れていきます。
そして、その一方で、捨てることをしません。その結果、社内が汚部屋と化しています。小さい割に複雑です。
そんな会社の経営計画書を見ると、当然、『捨てる』の文字はありません。
儲かって、大きくなる会社は、驚くほどシンプルです。
そして、そんな会社の経営計画書には、必ず『捨てる』目標があります。
「止める」、「撤退する」という文字があります。それも、毎期何か一つはあります。
儲かっていない、大きく成らない会社は、呆れるほど複雑です。
そして、そんな会社の経営計画書には、『捨てる』目標がありません。
「開始する」、「取り入れる」という文字が並んでいます。
「仕組みで集客する」という言葉は、よく耳にします。しかし、この「仕組みで集客する」という意味を本当に解っている人は、多くは居ません。
そして、実際にその「状態」を経験できた人は、本当に少ないのです。
集客の仕組みができると、後は「金を掛ける」だけという状態に入ります。
1000通のDMを発送すれば、数%の申し込みがあります。
1回フェアに参加すれば、3社は見積もりの依頼が来ます。
PPC広告でこの金額を掛ければ、〇クリックがあり、資料請求が〇件あります。
このように、ある確率が構築できた時には、安心して金を掛けることができます。
DM発送数を倍増する、出展するフェアを増やす。
この最初の「集客の仕組み」を作ることは、大変苦労します。見つかるまでは、忍耐が必要です。
「当社の集客は、いま開発の段階にある。いまは、年商10億になるための集客の仕組みをつくっているのだ。」
その目的を忘れずに、一つひとつ改良を加えていきます。
DMのチラシのコピーやデザイン、封筒の形状など、ABテストを繰り返します。
社長自らフェアに参加し、お客様の特徴やその質問内容を確認します。
PPC広告に1万円を投じ、その反応をじっくり視ます。金がかかります。この時の集客コストは全く見合っていません。
その結果に、一喜一憂しながらも、その取り組みを続けます。
その結果、必ずそれは見つかります。
冒頭のM社は、強力なWEBサービスをつくり上げました。
市場の規模もそのニーズの強さも、年商10億に進む力が十分あるものです。それどころか、20億、30億も夢ではないほどのものです。
そして、M社長は、その商品を売るための、集客の仕組みづくりに取り掛かりました。その集客の仕組みづくりに、一年近くかかりました。
そして、見つけました。DMを送れば、数%で反響があります。その反響率は、驚異的な数字です。
これまでは、毎月1回2000通のDMを発送し、1回のセミナーを開催していました。これからは、毎月2回DMを発送し、2回のセミナーを開催します。
そして、次は、月4回、すなわち、毎週のサイクルにします。
このサイクルを増やせば増やすほど、売上げは増えていきます。この時、ビビッてアクセルを緩めてはいけません。アクセル全開で市場の先行占有するのです。どんどん金を投じることになります。
また、早急に内部の仕組化をすすめ、供給体制も間に合わせるのです。どんどん人を入れることになります。
M社長は、見つけることができました。
これで、やっとスタート地点に立つことができました。これほど、嬉しいことはありません。記念パーティーをやりたいぐらいです。
そんなタイミングでの、M社長からの、『新商品』の相談です。
事務所に移り、矢田は、企画書を拝見しました。
「素晴らしいですね。これは売れそうですね。」お世辞抜きに十二分に力のある商品です。一度年商10億の条件を掴んだ社長には、要所が見えています。
M社長、私のその言葉に満足そうな笑みを浮かべています。
そして、矢田は続けます。「でも、ダメですね。」
売れる商品もあり、集客の仕組みもできた。それは、年商10億に十分成る事業モデルです。そして、これから、金を掛け、大きく儲けることができます。
どんどん規模を大きくすることができます。
このタイミングで考えるべきことは、「捨てる」こととなります。
いろいろ残っている集客のルートを、どんどん捨てていきます。アメブロ、フェイスブック、弱いものは止めます。
過去から昨日まで提供してきた特色のないサービスを、廃止します。そのための案内文を送り、時に社長はお詫びに回ります。
多くを捨てます。捨てることは恐いですが、捨てることで、残ったものに集中できます。手間も金も集中できます。
事業を飛躍する時には、多くを捨てて、身を軽くすることで、飛躍することができます。
年商10億になる事業モデルを築くために全力を掛ける。
そして、出来上がったら、多くを捨てて、残ったものに全力を掛ける。
さらにそのサービスと仕組みを改良し、金を掛け、シェアを獲りにいく。スピードをもって、大きくすることが必要になります。
多くの企業が、この逆をやってしまっています。
まず、大きくなる、年商10億以上に成る事業モデルを構築する視点がありません。
年商1、2億円にしかならない事業モデルを複数もち、分散させています。
特色あるサービスと集客の仕組みを所持していても、それを『選ばず』、その他多くも持ち続けています。身が重いのです。それを、スピードを持って改良し展開するための、投じる金も手間も中途半端です。
そして、また新しく買う物を探しています。
『年商10億の経営』とは『捨てる』ことを意味します。
多くの企業が、『年商10億の事業モデル』も『年商10億の経営』も持ち合わせていないのです。
または、多くの企業が、『年商10億の事業モデル』を持ちながらも、『年商10億の経営』を持っていないために、成長を止めています。
見つけることができたM社には、新しい商品、新しい集客方法は、これ以上必要ありません。これから、多くを捨てる時期に入ります。
その社長からの新商品は、「アイディアは素晴らしい。でも、経営的にはダメ。」なのです。
M社は、これから「超」楽しい時期に入れます。そんな時期を自ら逃すような、新しいコトは止めてください。これからを、楽しんでください。金を使いまくってください。そして、お金の感覚をおかしくしてください。
年商は、呆れるぐらい「簡単」に伸びてきます。2億、4億、8億となります。
M社の来期以降の経営計画書には、「捨てる」、「止める」、「撤退する」、の文字が入るようになります。そして、その分、どんどん身軽になってきます。
どの事業で、年商10億に行くか、を決めてください。
どの集客方法で、行くかを決めてください。
ひとつの商品、ひとつの集客方法で良いのです。
決めると、捨てることができます。
決めていないと、捨てることができません。そして、新しいものに目移りします。
その結果、いろいろ買い物をしてしまいます。
その結果、社内も、経営計画書も、「汚部屋」になります。
何かを新しく始める時、そのメリットと同時にデメリットも考える必要があります。そのデメリットの最大のものが、「分散しないか」「複雑化しないか」になります。
今期は何を捨てるかを、絶えず考えます。
新しいことを取り入れるより、やっていることを減らす方が、スピードを上げるのには有効なのです。
御社に今必要なのは、買うことではなく、捨てることです。
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