数字を読む ― 777商品 ―
この数字は、「ジャパネットたかた」のEC サイト掲載商品アイテムの上限である。
同社は、2016 年7 月、EC サイトの刷新に合わせて掲載商品を8,500 点から600 点程度と、徹底した絞り込みを行い、すべての商品に45 秒間の紹介動画を付けている(下図/商品金額右下)。
同社は、基本的には少品種多量販売を掲げ、社員が徹底的に議論して取扱商品を決定し、低価格販売の実現により成長してきた企業である。
ただ、EC サイトに関しては、取扱商品の間口が広がりすぎて8,500 点になった結果、商品情報量が少なくなりがちだった。
そこで、現社長の高田旭人氏が2016 年に社長に就任した後、なんと全体の93%の商品をカットするという大変革に挑んだ。この大胆な絞り込みは、旭人社長がEC 部長だった頃、月に2 個しか売れない一昔前の商品がEC サイトにアップされているのを見つけたことに端を発する。しかも一方で、EC 担当者は新商品の登録に多大な時間を費やしていた。
このような経緯から、社長に就任すると、すぐさま非効率なEC サイトにメスを入れたわけだ。この大変革により、下記の通り、効率性だけでなく数々の好循環がもたらされたという。
- 全商品の特徴をより詳細に説明できる紹介動画を用意できた
- 物流拠点を1 ヵ所に集約でき、全商品の在庫が持てる
- その結果、顧客への配送リードタイムが短縮された
- コールセンターでの対応も、600 商品に集中できるので、効率化が図れた etc.
旭人社長の談によると、「理論上、商品を600 点に絞っても、従来の売上の93%は確保できる計算だった」。つまり、ロングテールの発想で増え続けたアイテムを一気に7,900 点も削るという一刀両断の決定には、旭人社長の冷静な数字の読みがあったのだ。
その読み通り、一時的に落ちた売上も2017 年には回復し、今年度はグループ全体で、2,000 億円を目指すまでになっている。
「ジャパネットたかた」を一代で大企業に育て上げた高田明氏からバトンを受け取り、「新生ジャパネット」として船出してから3 年目。旭人社長は、来年からは「チャレンジ・トウ・ザ・ネクストステージ」と位置付け、新たな事業への意欲を見せている。
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