上手くいっている社長の経営計画の考え方
「実は、最近、以前のようなハングリー精神っていうか、あんまりヤル気が出ないんですよ。望むものはおかげ様で何とか手に入れることが出来たし、なんかちょっと安心しちゃって。。。なんとなく、気持ち的にたるんでいる気がするんですよ。」
長年苦労を重ねられて、やっと経営が軌道に乗ってきたある経営者からのご相談です。
「昔は寝る間も惜しんで仕事に打ち込めたけど、今はそうでもなくって・・・」
「体力的にも精神的にも疲れを感じやすくなってきた・・・」
「上手く言えないけど、心の渇きというか、なんか最近ワクワクしない・・・」
どんなに優秀な経営者であっても、何年も全力疾走で経営の第一線を走っていれば、
誰しも心や体に疲れを感じたり、あるいは、世間一般でいうところの様々な誘惑に、
思わずクラッと心が動いてしまうことがあるかもしれません。
特に、長年目標としていたものを手に入れたとき、誰しもホッとして気が緩むのは当然のことです。経営者でなくても、例えば、スポーツの大会で勝利したとき、念願の大学への入学を勝ち取ったとき、やっとの思いで入社試験に合格したとき、苦労して資格試験に合格したとき...。何かに本気で打ち込んだ経験がある方であれば、その時を思い起こしてみると、少し気が抜けたというか、心にぽっかりと大きな穴が空いたような感覚をお持ちになられた経験があると思います。
しかし、それらのいわゆる「目標達成」というのは、あくまでも一種の通過点であって、そこが真のゴールではなく、本当は長い道のりのスタートであるということは、いうまでもなく明らかな事実です。つまり、如何に「夢のまた続き」を描くかが大事なのです。
そして、実は、経営者ほど、この「夢のまた続き」すなわち「目標設定」の仕方がとても重要になってきます。なぜなら、経営者は、社員と家族を背負って事業を営んでいるわけであって、経営者が明確でより良いビジョンを想い描き、その達成に向けての道筋を示さない限りは、永続的な事業存続も、社員と家族を守りぬくことさえも、できなくなってしまうからです。
特に、中小企業の場合は、経営者が健全な事業意欲を失い、自分自身の生活レベルを上げることだけに重きを置き始めたとしたら...、これはとても危険な状態なのです。
なぜなら、中小企業の場合、会社の存亡というのは、経営者自らが未来をどう描くかに大きく左右されてしまうからです。
そういう意味では、「最近どうもワクワクしない・・・」というお悩みを抱えている経営者は、従来の「自分本位の目標」から卒業すべき時がきたとも考えられます。経営者として一皮むけるタイミングであり、目標そのものを一種の気高いもの、例えば、社会貢献的なものだったり、技術・サービス・商品を通じて如何に人々に幸せを届けるのか・・・などなど、経営者自身の目標設定のレベルを、より高く、より尊いものに引き上げていく時期なのです。
長く成功し続けている経営者ほど、この「目標設定」の重要さを理解し、公の器としての会社が、どのように価値ある技術やサービスを世の中に提供し続けるべきか...という点を、何よりも強く意識した目標設定を行うものです。
一般的に、目標設定と聞くと、「年商いくら達成する!」とか「新規出店を何店舗行う!」など、一度達成してしまったら、再度新たに設定し直さなければならないようなものだけをイメージされるかもしれませんが、実は、それらはあくまでも、真の目標を達成するためのイチ通過点にすぎないのです。
この「イチ通過点にすぎない目標」を、真の目標と捉えてしまうと、肝心の「再現性」という視点が欠けてしまいます。例えるならば、飲んでも、飲んでも、喉が渇いてしまう海水のようなものなのです。あくまでも、イチ通過点でしかないのです。このような間違った目標設定をしてしまうと、「目標自体は達成したけど、なぜか心が満たされない」「何かが違う気がする、どうも違和感がある」といった想いにさいなまれることになってしまいます。
そうならないためにも、最も重要なことは、より「高い次元」で、最も「再現性」のある目標を、何よりも「明確に」設定することなのです。再現性のある「ありたい姿」をカラーで、そして動画で想い描き、それを、言語化したものとして、ビジョン・ミッション・クレド、使命・方針・行動規範などへ、一つ一つ丁寧に落とし込んでいくことが重要なのです。いわば、会社の「軸」を明確にして、それをベースに、未来へ進んでいくのです。
そして、その「ありたい姿」を達成するためのツールとして、「経営計画」を経営者自らが作成するのです。それが、ダイヤモンド財務化を加速するための、強力な「道しるべ」になるのです。
あなたの会社の、「真にありたい姿」は明確ですか?
あなたが、経営者として、本気で実現したい夢は何ですか?
ダイヤモンド財務コンサルタント 舘野 愛
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