一人ひとりの声、少数意見を採用しない決断
「業界の常識は、違う業界の非常識」とはよく言われることです。
確かにあるコミュニュティにどっぷりはまってしまうと、その他の世界での尺度が見えなくなることがあるのは確かです。敢えて全く違う業界、仕事とは関係のない人の声を聞くと、ある小さな枠の中での考えていたことに気付かされます。
実際に先日、仕事では接点のなかった方からの指摘に、「目から鱗」という経験をしました。問題ありき、としてその解決策を探っていたとき、「本当にそれが問題か?」という原点に返るという発想。関係者にはまったくない発想でしたが、第三者からの指摘で、そのスタートラインに返ること。それによって、大きく答えは変わってきます。
ここでは、一つの課題を第三者から視点があることで、関係者とは全く違った角度からの見方があることを知ることができたいい機会でした。ここで出た、「本当にそれが問題か?」という問いかけは、いろいろな場面で必須かもしれません。
良い企業、良い社長、良い上司というのは、「〇〇でなくてはいけない」という、人それぞれの思い込みがあります。そのなかで、リーダー層になると、「少数意見を大事にする」「一人ひとりの声を聞く」を重要視するという声も多くあります。これができるリーダーが良いか、良くないかと言われれば、間違えなく良いリーダーではあります。
では、その少数の意見や声を採用するか、しないか。
聞くことは大事、それよりももっと大事なのは、その次のステップである見極め、です。
当事者になっていない方には、「なんだ、そんな当たり前のこと」と思うかもしれません。ですが、当事者にとっては、その“しない決断”ができるかどうかが大きいと思えるのではないでしょうか。また、結果が伴ってこそですが、“しない決断”できるかできないかが、力量の違いなのかもしれません。
「少数意見を大事にする」「一人ひとりの声を聞く」と同時に、
「大多数の意見を大事にする」「多数派の声を聞く」ことも、改めて大事なのです。
実際に進行中のプロジェクトでの話。ほぼ決まりかけていたことに対して、ある少数派の方への配慮がないという批判の電話があったといいます。これは建物のハード面に対することであったため、設備などで対応はするのは当然のこととして受け入れました。
その一方で、少数派への配慮は必要ではありますが、その分、大部分を占める方の満足度が下がってしまっては本末転倒になってしまいます。ちょっと立ち止まって、「本当にそうしないといかないのか?」と、決定者がご自身に問いかける必要があるのです。
そして、出した答えの伝え方が非常に重要です。それは誰に?かと言われれば、決定者自身以外のすべての人への伝え方です。「多数派に流されているという印象を与えないこと」「少数意見を聞いたうえ、熟慮した末の判断だと伝えること」が大切です。
「少数意見を大事にする」「一人ひとりの声を聞く」ことは大事。でも、その声をそのまま採用することことだけが最善策とはかぎりません。
「本当にそれが問題か?」。大きな変化を求められるときこそ、改めてご自身に問いかけてみませんか?
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