成功する社長が持つ、リスクに対する考え方
ビジネスにおいても人生においても当然ながら、想定外のことは起りえます。例えば人生で言うと、病気や事故で突然命を失うことだってあり得ます。
「ボクは死にません!」と強がったところで不測の事態というのは誰にだって起こり得ることですから、それに備えて保険に入ったりするわけです。備えあれば憂いなし。想定外のリスクに備えておくことで、安心して日々過ごすことができます。
これはビジネスにおいても同様で、「絶対にうまくいく事業」なんていうものはありません。もちろん、「絶対に成功させる!」という気概をもつことは非常に大事ですが、実際はリターンには必ずリスクがつきものです。
ここで、ビジネスで結果を出す人はリターンの方に注目し、ポジティブ思考でその成果を掴んでいくようなイメージがあるかもしれないが、実際はむしろ逆。結果を出す人はリターンよりもむしろリスクに着目します。
例えば、企業買収や事業提携において、プロであればその買収や提携によるリターンを推測するだけでなく、むしろ起こり得るリスクやデメリットの方により目を向けます。
買収・提携しないことのリスク
買収・提携した場合のリスク
そして、その買収・提携がのちに解消されたときのリスク
これらを冷静に分析し、天秤にかけ、想定リターンとの比較で意思決定するわけです。
そして、実際に買収・提携することが決まったとしても、それがうまくいかなかった場合を想定し、それに備えたシナリオを持ちながら動いていくことになります。
言うなれば結婚する前から離婚を想定して動くようなものですが、これはポジティブ・ネガティブといった感情論ではありません。この世界に固定的なものなどないわけですから、市況、顧客ニーズ、競合の動き、パートナー側の事情、そして人の心...こういったことが「変わる」と事前に想定することが大事ということです。
これは何も企業買収のような案件に限った話しではなく、既存の事業においての考え方も同じです。何事にも両面があるようにリターンのあるところにはリスクがあるわけですから、今やっている事業にどのようなリスクがあるかと冷静に見極め、そのリスクに対して事前に手を打つことが求められます。
例えば、これは下請加工業に多いですが、現状の商売が少数の大口顧客に頼っていて、彼らに切られると会社が危機的な状況に陥ってしまうというケース。この状況に「切られないように手を打つ」というのは当たり前ですが、この「切る切らない」は相手が決めることであり自社のコントロール範囲外です。ここは、切られないように手を打ちつつも、「切られてもいいように手を打つ」ことが重要と言うことです。
他にも、たった一つの主力商品に頼っている場合とか、今いる業界の先行きが悪いと想定される場合なども同じことが言えます。その商品の売れ行きや業界の行く末が悪くなることをただ憂うのでもなく、座して死を待つのでもなく、そうならないよう防ぎながらも、そうなっても大丈夫なように別の柱をつくっていくことです。
組織面でも同様で、少数のキーマンに頼る事業運営では彼らが辞めてしまってはアウトです。そうならないように仕組み化し組織力で事業を廻すということを、彼らがいなくなる前に仕込んでいくということです。
このように「リスクに目を向ける」ということをネガティブだとか、性悪説だとか言って避けるのは視点の低いことです。そういった感情論は排除し、しっかり状況を見て思考することが結果的に成功につながります。
この点は例えばゴルフで言うとわかりやすいかもしれません。スコアが出せない人は「どこに打つのがベストか」と考え、ひたすらそこを狙っていきます。その一方、スコアを出す人は「どこに打ったらマズいか」を見て、絶対にそこにいかないような攻め方をします。
ビジネスも同様です。ベストシナリオだけを想定することは、ポジティブ思考でもなんでもなく、思考から目を背けて「快楽」に流されているだけ。そして結果的にはリスクは大きくなります。一方で、事前にワーストシナリオを想定する「痛み」と向き合い、そのリスクを潰していけば、当然ながらリターンを得る確率は大きくなります。
「その言葉よりもその言葉が言っていない言葉」に目を向けることです。
自社のビジネスの事業性、外部環境、内部環境を客観視し、リスクを冷静に見極め、そのリスクを事前に潰すことで、確実にかつ継続的にリターンを得ていきましょう。
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