親子経営 次世代経営者に求められることは
企業にとって後継者を含む次世代を担う経営者に求めることは何なのでしょう。彼らに望むことは多くありますが、一つに絞って云うなら次代に企業が存続し更なる発展成長ができるよう事業の再構築をすることになります。
もっと云うなら、今現在の企業のビジネスモデルを総点検し、業務を見直し業務の再構成を図ることです。同時に社員の意欲を高め社員それぞれの能力を引き出すことで社員を巻き込み共に新しい次代のビジネスモデルを創り上げることです。
私は事業承継の話をする際、よく接ぎ木に例えて話します。現経営者である父親は後継者である息子に経営交代する際、自分がこれまで築き上げてきた会社と事業を息子が立派に継いでくれることを期待します。
みかんの木をたくさん育ててきた父親は一生懸命大きくてどこよりも甘いみかんを実らせてきました。それを継いだ息子は父親のみかんの木に接ぎ木をしてこれまで以上に手間をかけ一生懸命更に美味しい果実を実らせようと働きます。
そしてその努力の甲斐があって立派に大きな果実が実ることになりました。それを聞いた父親が喜んで来てみると、なんとそこには大きくみずみずしい立派な桃が実っていました。誇らしげにしている息子に父親は激怒します。
父親は息子にみかんの木を譲ったと思っているので当然息子は自分が作った以上の大きくて甘いみかんを育てているものとばかり思っていました。ところが息子はみかんの木に桃の木を接ぎ木していたのです。
これと同じことが事業承継において起きている訳です。息子に経営を譲った父親は自分の作ったビジネスモデルを息子がそのまま引き継いでくれると思っていた訳です。現実にはそれまでのビジネスモデルが経年劣化を起こしていたにもかかわらずです。
経営者のみならず誰しも自分がそれまで大切にしてきたことや物を息子が勝手に取り換えたり捨てたりしたなら自分自身が否定されたような気持になり腹が立つものです。親子といえどもそういうときこそ丁寧な配慮がなされなければなりません。
しかし現実には多くの企業で父と子が互いのビジネスモデルを主張し合い争いとなりお家騒動に発展するケースがたくさん見受けられます。大塚家具や伊勢の赤福餅など数え上げればキリがないくらいです。
話を戻すと、後継者を含む次世代経営者が現在のビジネスモデルを見極め見直すことから始めるのは当たり前のことです。まして業績が停滞、低迷している企業であればなおさらのことになります。
今のビジネスモデルを創り上げてきた先代が自分で自分のビジネスモデルを大きく変化させ転換させることは容易な事ではありません。やはりそれは次世代の会社を担う次世代経営者がやるべき仕事だといえます。
理想を言うなら、父親が経営者であるときに後継者が責任者となって今の事業の見直し、見極めをし、事業の再構築をすることです。具体的には、まず社員の働く意欲を高めるためにいろいろな業務改善に取り組みます。
次に社員一人一人の能力を目いっぱい引き出すための業務改革に着手します。そして最後にビジネスモデルの再構築を目指します。ケースによっては現状のビジネスモデルの改善が最良の場合もあれば、ビジネスモデルそのものを新しく作り変える必要がある場合もあります。
いずれにしてもこのとき大切なことは一人でも多くの社員を巻き込んで行うということです。決して上から押し付けるということでなく業務改革、業務改善を進めた結果として生まれてきた成果としてのビジネスモデル再構築であることです。
次代の会社を支える事業を創生することは次世代経営者がするべき優先事項であり、次世代経営者にしかできないことです。次世代経営者に求めることはこれ以外にないと言っても過言ではありません。
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