秘密の原則、できる店長は、売上を前年同月と比較しない。
「前年同月と比べないんです。だって、もっと売りたいですから。
売れているときと比べた方がイイじゃないですか。それに前年対比だと、業界だの世間だの言い訳理由はつきやすいけど、納得感がないです。
上司は、売上伸びたら好景気で当たり前、伸びなきゃ努力が足りない、そう言うでしょ。
本当は好景気だって、全部の店がいいわけじゃない。お店の立地や、客層の特異性もある。自分達が努力したことを評価されたいし、努力した自分を褒めたいし、努力した仲間を褒めたい。」
店舗でも良くある目標が、売上前年対比100%目標です。
少し市場がしぼんでいる業界では「目指せ!前年対比100%」でしょうか。
どこの業界業種でも、予算というと、前年同月作対比がよく使われます。
この昨対比、現在では、POSレジのおかげで、多くの店舗で素早く手に入ります。
POSレジのデータが手に入れば、即刻前年同月対比が表示されます。
で、100%だったら、本当にそれでいいのですか?
賢く、このデータを効率良く使っている店長さんがいます。
売上アップに繋がるマーケティングの数字を使える店長さんです。
この店長さん、競合店が進出した、暑すぎてお客さんが減少したなど、他のお店では外的原因だと片付けてしまう売上減少の原因にも、内的原因改善の余地を見つけます。
内的要因が見える理由、それは、売上が、3つの数字のかけ算だからです。
お客様が購入に至るまでの行動を分解してみましょう。
まず集客=お店に来てもらう事、そしてそのうち何人かに実際に購入頂き、購入金額の合計が売り上げです。
来店しても見てるだけ…、から実際に購入してもらうには、販売力が必要です。
店長さんの業種は小売販売です。
小売業儲けの方程式は、
「来客数」×「購入率」×「客単価」
単純に売上前年同月昨対比だと見えてこなかった売り上げを上げる行動が、この3つの数字に書き直すと、どこが良くて、どこが悪いのか、見えてきます。
単純にそれぞれの数字を10点で、点数をつけてみましょう。
昨年同月売上 192 = 来客数8×購入率4×客単価6
当年同月売上 196 = 来客数7×購入率4×客単価7
売上総額だけ見たら、前年対比102%だから、「あ~~今月は、いい調子」
でも、儲けの方程式に当てはめると、問題点が見えてきます。
客単価は上がっています。大口の購入者がいらしたようです。
客数が、減少しています。
購入率は上がっていません。
あなたがほしいのは、安定した売上の伸びではありませんか?
今月大口が入ったけれど、来月も同じ大口があるという確証はないのです。
それでは、仕入予想は立ちません。
できる店長さんは、この数字をどうみてどう改善するか?
- 一番に改善したい数字を選びます。今回は購入率です。
購入率が一番弱い数字だからです。
- 改善したい購入率がよかった目標となる過去の対象期間を決めます。
- 過去の購入率がよかった期間に行っていた接客・言葉かけ・品ぞろえなどを過去の販売日誌や売上履歴から探る。
売上が減少すると、ヒット作がないから、販売員のやる気がないから、などなど上司からは、いろいろな叱咤激励が飛んできます。
でも、一番に知るべきは、今のチームの一番弱いところ・弱点の共有です。
儲けの方程式をもう一度見直してみましょう。
当年同月売上 196 = 来客数7×購入率4×客単価7
購入率を1点改善すると、245=来客数7×購入率5×客単価7
なんと、125%です。
売上は25%ものアップに繋がるのです。
数字のマジック?
いいえ、これは制約理論という、偉い先生が教えてくれている理論です。
“システムの強度は、一番弱いところに、比例する。”
サプライチェーンマネージメントで用いられる理論です。
1984年 ゴールドラット教授が、ザ・ゴールで現しました。
実は、お金が増える理論でもあります。
つまり、一番弱いところをちょっと強化すると、格段に改善できるというのです。
では、実証してみましょう。
一番弱いところはそのまま、次に弱いところ、客単価を1点あげてみましょう。
客単価1点改善 224=来客数7×購入率4×客単価8
購入率1点改善 245=来客数7×購入率5×客単価7
客単価1点改善 224=来客数7×購入率4×客単価8
同じ1点の改善なのに、結果はどうですか。
店長さんは、購入率を上げる対策を平均値にまで上げたいと思います。
そうしたら?
購入率平均点改善 343=来客数7×購入率7×客単価7
ベテランの前任者から初めての担当者に引き継いだ売り場で起こった事例です。
数字は、ベテランの前任者が担当していた期間に行った背策を具体的に見せてくれます。
やってみせて、数字の意味を言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば、人は動かじ。
原因をお客様との関係・行動の3つの数字に分けて、良かった時と比べるのです。
POSレジの情報を情報は、集計された最終金額で見るのではなく、売る行動の結果としてみているのです。
さらに、店長さんは、3か月から6か月の売上期間で比較します。
単月で見ると同じ5個でも、伸びて行く5個と、しぼんでいく5個があります。
1か月目は5個、2か月目は7個、3月か月目は10個、伸びる商品の推移を探すから、期間が長くなります。
そうです、数字を読むのは、掘り出し物を見つけるゲームです。
ゲームだと、勝利しようと楽しむ感覚が出てきます。
仕事だからやらなければ、で商品棚を眺めるのと、ゲームのごとく自分の棚で一番売れる商品を見つけると、思うのでは棚を見る目が違うもの。
例えば、ひと月90万円の棚を100万円棚にする、10万円売上アップ作戦。
店長さんは、それなら、一番売れている商品をこの棚いっぱいにしてやろう。
売れている商品を、目につく場所一面に置きます。
具体的にPOSレジの売り上げ記録を確認すれば、実際に売れている商品は一目瞭然。
その販売数をふやすには、店舗全体でこの商品を売ろうという合意をし、棚に占める面積を大きくし、理由をPOPに書いてお客様に知らせたくなります。
なぜこの商品なのか、なぜ売り上げを上げたいのか、理由は客観的事実を確認すれば強く、店舗社員に伝わります。
ただ俺がやりたいから、では売り上げは伸びない。
店舗全体の共通の目的が、売り上げを伸ばします。
売れると楽しい。
販売する人がみな思う、楽しさです。
売上を伸ばすやり方は、前年同月対比ではありません。
来客数を増やす×購入率(購入頻度)アップ×客単価(顧客生涯価値)
3つの数字に分けてどこが弱いかみんなで共有。
もちろん社長さん店長さん数字を見てるだけ~では、ダメですよ。
どこを改善するか分かったら、後は実行です。
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