親子経営 父と娘の争いの末
また大塚家具の話題がネット、紙面を賑わせています。大塚家具が支援先企業を積極的に探しているという話題です。それら情報によれば支援先として貸会議室運営大手TKP、ヨドバシカメラなどが挙がっていますが、交渉は難航しているようです。
また今朝の日経新聞記事によると2018年12月期の最終予想損益は40億円が予想され、3期連続の赤字決算を余儀なくされそうです。先日、株主総会において今季業績予想を13億円と豪語したばかりでしたが業績の悪化に歯止めがかけられない状況が続いています。
大塚家具の業績推移を見ると2003年に730億円を売上げその後下降し続けているのが分かります。2009年最初に長女が社長に就任したときは579億円まで売り上げを落としていました。
その後2014年に突然長女が一旦社長を解任され父親が一時社長に復帰しますが、その後の株主総会で株主委任状争奪戦の末、長女が社長に再任され現在に至っています。今改めて業績を確認すると、長女が解任されるまでの5年間の努力が見えてきます。
就任当初の2年間は営業赤字を計上していますが、その後売り上げを落とすことなく一般管理費の削減等により営業黒字を確保していました。売上総利益いわゆる粗利益も50数パーセントを確保し決して悪い経営状況ではありませんでした。
そんな状況のなか父親が長女を解任したことで世間の注目を一挙に浴びることになってしまい、結果として父と娘が経営権を争うというスキャンダルとして扱われてしまったことで企業イメージを大きく毀損したことがその後の業績に影響を与えてしまいました。
今もって疑問に思われることは、何故あのとき一旦長女に社長を譲りながら5年で社長を辞めさせようとしたのかということです。理由はともあれそのことがお家騒動として世間を騒がせ業績を落とすきっかけとなった訳ですから、父親の責任は大きかったと云わざるを得ません。
今思えばもう少し父と娘で冷静に穏便に話し合うことができなかったのかと悔やまれます。父と娘だからまたこじれると難しいというのも人の為せるところではあります。泥船から船長が息子を連れ真っ先に逃れ、娘が船長として残ることになったということでしょうか。
さて、2018年の売り上げは350億円の予想といわれています。実にピークからすれば半減したことになります。どんな会社も売り上げが半分になると企業の存続そのものが危うくなります。
大塚家具の存続は決して楽観できるものではありません。何よりも売り上げの減少を止められないことが大きな問題です。そのうえ赤字店の閉鎖が思うようにできない現実があります。大型店舗の賃貸契約が長期であり解約には大きな違約金が発生することからなかなか店舗の統廃合が進みません。
第三者企業との資本提携、業務提携交渉が難航している原因がここらにあるようです。また金融機関からすれば無借金企業とはいえども業績見通しが悪く、担保となる資産が無いのであれば融資が困難であることは明らかです。
かつて180億円あった手元資金は10億円となり金融機関のコミットメント枠が30から50億円だそうですから、もう時間的余裕はありません。ここまでくれば長女自身の経営権を放棄することで打開策を練ることも視野に入れるときが来たと思います。それも含め長女がどのような決断をするのか注目です。
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