社員に自立を促すなら、社長が率先して嗜好を変える
犬好きか、猫好きか。ペットを飼っている人にお話をお聞きすると、犬派と猫派に大きく分かれます。
そして、たいていの場合、「犬は可愛いけれど、猫はちょっと・・・」、「猫は手間がかからないが、犬はねぁ」というように、犬好きの人はあまり猫が好きでなかったり、逆に猫派の人は犬が苦手であったりというように好みがハッキリ分れます。
私の場合は、犬でも、猫でも、ペットを飼うのは好きではないので、その真意のほどはよく分かりません。けれども、やはり飼い主とペットとの間にはお互いにとって心地よい共通項があるのを感じます。
ところで、飼い主とペットとの関係を社長と社員との関係に置き換えて考えてみると、社員の自立を志向する社長は社員に猫型の行動を促しています。いつも、社長の周りにいて、社長の顔色を気にするのではなく、ある程度自由に動き回って活動することを期待しているのです。
一方、多くの社長は従来社員に対して、犬型の行動を強いてきました。意図的であったか、無意識であったかは別にして、「右向け」と言えば、素直に右を向く、近くにいて、従順の意を示す、何かあったら社長のところへ吹っ飛んでくる、というように、社長の指示通りに動くことで、社長の気持ちを癒してきました。
これらの行為は、「お手!」と言えば、お手をする、尻尾を振って、喜びを表す、帰宅したら、玄関まで走って向かいにくる、というように、飼い主が愛犬を可愛いと感じるのと似ています。
そして、もし、愛犬が「お手!」と言っても、お手をしない、尻尾を振らずに、愛嬌も示さない、家に帰っても、無視したまま、だったら、少し寂しく感じるように、社員が、「右向け」と言っても、素直に右を向かない、近くにいても、従順の意を示さない、何かあっても社長のところに相談にこない、状況になれば、たいていの社長は一抹の寂しさを感じるのではないでしょうか。
社員の方も、今まで犬型で行動してきて支障がなかったのに、急に猫型で動けと言われても戸惑います。しかし、一番困るのは、猫型で行動しようとしているのに、社長の判断基準が犬型のままという時です。
社員の意識を改革する時、案外ネックになるのは社長の意識改革ができていないという時です。
自分は犬好きのままなのに、猫を飼おうとすると、お互いにストレスが溜まって上手くいきません。社員に自立した行動を求めるのであれば、まずは社長自身が社員に依存しているところはないかを見極める必要があります。
相手の行動にイライラする時は、自分自身ができていない部分を見せられていることがあります。特に大きく変革を促す時は、社長が率先して意識して嗜好を変えて、行動しましょう。
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