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人気商品や業態は徹底的にパクるのが正しいのか

SPECIAL

社内独立店開コンサルタント

株式会社ストアブレインコンサルティング

代表取締役 

経営コンサルタント。アパレル、小売、飲食チェーン指導などに強みを持ち、店長再生から店舗最盛へとつなげていく独自の「社内独立店開」手法を指導する専門家。
自らは店舗を持たない「販売・運営」に特化した経営スタイルに、多くの異業種経営者、店長が注目。路面店から百貨店、都心型SC、郊外型ショッピングモール…など、多様なチャネルで成果を上げ、店舗の強みを引き出す天才と称されている。

店舗ビジネスでは「顧客ニーズに合わせた商品(モノ・サービス)の開発」が業績の根源であり、さらにその商品が店舗の顔ともなるため、店舗経営戦略として最重要事項となります。しかし、このことを軽く見ている経営者が散見されるのが実情です。

どういうことかといえば、要は「思いつき」で店舗を開業する人が多いということです。例えば、定年退職後に趣味が高じて喫茶店や蕎麦屋を始めたり、自分が好きだから、あるいは流行っているからといってラーメン店、バル、ステーキ専門店、均一価格や鶏料理メインの居酒屋、相席居酒屋などなど、挙げればキリがないくらい、「思いつき」もっと言えば「行き当たりばったり」での開業はいたるところで見受けられます。

商売を始めるのは自由ですから、基本的には好きにすればよいと思います。しかし、上記のような始め方をしてしまうと、ほぼ間違いなく長続きしません。自分が好きなものを他人も好きだとは限りませんし、そもそもそういう人に限って持っている技術も中途半端です(周囲の限られた人から褒められ、客観的な自己分析ができていないことが多い)。 

また、流行っている業態は一気に競争が激しくなり、空気を入れすぎた風船のごとくパンパンに膨張し、そのまま順調に大きくなることは無く、ある時点で必ず破裂します。市場拡大のスピードと同等かそれ以上の速度で衰退していくのです。一時的にはよくても、すぐに飽きられてしまい、陳腐化、つまり需要が無くなります。同様の状況を何度もこの目で見てきました。 

一方で、大手チェーンが流行っている業態を模倣することは、その法的、道義的な問題はあるにしても、戦略的には理にかなっています。経営資源が豊富であり、業態開発をした創業者よりも安く、さらにレベルが上のサービスを提供できる可能性が高いからです。新たにできた市場をその豊富な経営資源を使い、少ないリスクでシェアを広げる。後出しじゃんけんで横取りするようなイメージです(悪口ではありません。ビジネスの世界では当たり前です)。 

これはいわゆるリーダー企業としての競争地位戦略です(フィリップ・コトラーが提唱した戦略理論。市場において、企業をその経営資源、シェアなどからリーダー、チャレンジャー、ニッチャー、フォロワーの4類型に分け、その地位により戦略行動を変える理論)。

しかしこれ(流行り業態)を個人がやってしまうと、分析も浅くなり、単なる二番煎じにしか見えず、しかも提供するサービスは中途半端になり、経営資源的な余裕もないことから価格も安く出来ません。その流行が過ぎ去れば、目も当てられない状況になるでしょう。

ですので店舗を開業(商品開発)する際は、中小企業あるいは個人事業だからこそ、まずはしっかりと顧客ニーズを見極めることが求められます。そのうえで自社が提供する商品(モノ・サービス)を決定していかなければなりません。

もっとも、どれだけ顧客ニーズを調査、分析したとしても、結局は「やってみなければわからない」部分がほとんどです。これは店舗ビジネスに限らず、ビジネス全般、もっと言えば新たに挑戦するすべてのことに当てはまります。

だからといって、何もわからない状況で無謀な挑戦をするのは褒められることではありません。顧客ニーズはある意味で仮説ですが、仮説だけに実際にやってみると必ずズレが生じます。そのズレを把握する基準点を持つ意味でも、顧客ニーズを調べる、そして知ることは重要です。ズレを潰していけば間違いなくヒットする商品、業態に近づいていくのです。

店舗経営者の皆さん、

自分が単に好きなもので商売をしようとしていませんか?

周囲の意見だけで顧客ニーズを把握したと思っていませんか?

 

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