【感性を高める】基礎価値こそが全て
付加価値戦略と言う言葉が世の中に横行していますが、その前に基礎価値を高める事を忘れてはいませんか?
基礎価値が高くない商品は、どれだけ付加価値を付けたところで価格の値上げも難しいですし、価格を10%引き上げることも至難の業です。 基礎価値を高める事こそ、真の長期戦略と断言出来ます。
こんにちは、茶人・小早川宗護です。私は茶道裏千家の師範として30名の直弟子を指導しつつ、茶人として、最もハイレベルな茶会「茶事」をビジネスとして展開しております。
さて、皆さんは「上質」と「品質」と言う言葉の分別が出来ておりますでしょうか。 しばしば「クオリティが高い」などと言う表現がありますが、実は「Quality(クオリティ)」と言う言葉は、そもそも「高品質」と言う意味を持っています。
それに対して「上質」とは「Fine(ファイン)」と言う単語がよく使用されます。 実際に上質な製品を販売する海外サイトの大半が、「Fine」と言う表現を使用しております。実際のところ、上質と高品質は、全くの別物です。
一つの製品が持つ既存の品質に対して、更なる品質を追い求めれば、それは高品質になります。そしてその製品の高品質は、徐々に消費者にとっての社会的スタンダードへと変化していきます。要は、後追い参入が次々と出てくる、と言うことですね。すなわち品質とは、一言で表わすと「性能」です。
それに対して「誰にも真似の出来ない何か」を一面に押し出した製品は、「上質」と表現されます。「上質な空間」「上質な時間」などとよく言いますね。その「上質」な製品は、誰にも真似の出来ない何かが売りなので、後追い参入の数が決定的に少ないのが特徴です。すなわち上質とは、一言で表わすと「独自性」です。
基礎価値が非常に優れた物づくりと言うのは、ただ品質が高いだけでなく、そもそも上質な場合が大半です。我らが日本国に生きていると、知らず知らずのうちに高品質ばかりを求めがちですが、本来、人が本能的に求めているのは上質さなのです。
それは洋服を見ていれば、すぐにお解りだと思います。いくら高品質・高性能・多機能な洋服であっても、色合いやデザインを無視した、悲惨なほどダサい物であれば、余程で無くては買う人が生まれません。
洋服には何故あれほどの個性・バリエーションがあるのでしょうか? その根本的理由を自社製品に組み込むことが出来れば、確実に「上質な物づくり」が可能となるでしょう。問題は、その根本的理由を見抜く事ほど難しいことは無い、と言う部分ですね。
上質でさえあれば、そもそも基礎価値だけで顧客を魅了しているので、付加価値戦略など蛇足です。それを最もわかりやすく表現しているのが、イタリアのアパレル業界では無いでしょうか。一度ファンが付くと、なかなか離れないあの業界にこそ、最高のベンチマークが存在すると私は考えております。
いずれにせよ、いつまでも品質の高さにこだわれば、気付けば二流に落ちてしまうことでしょう。
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