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社長の解釈どおりに現実は決まる

SPECIAL

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルタント

株式会社キラーサービス研究所

代表取締役 

経営革新コンサルタント。イレギュラー対応を標準化することで、ライバル不在で儲かる、「特別ビジネス」をつくりあげる専門家。倒産状態に陥った企業の経営再建から、成長企業の新規事業立ち上げまで、様々なステージにある数多くの企業を支援。イレギュラー対応を仕組みで廻して独自の市場をつくりだす画期的手法に、多くの経営者から絶大な評価を集める注目のコンサルタント。

「うちは加工賃ベースで下請けやっている業態だから苦しいんですよ。」── ご相談にお越しになる経営者の方からよくお聞きする台詞です。

当社では普段からセミナーなどで自社独自の強みをつくって価格競争から抜け出す方法をお伝えしている関係で、価格低下に頭を悩ます経営者の方が来られることも多いです。

他にも
「うちの業界は先細りだからまずい。」
「この業界はどこもやってることは同じだから価格でしか差がつかない。」
などなど、何かしらのお悩みや課題を抱えてお越しになります。

ここで言えることは、こうした台詞というのは注意が必要で、社長がこのように考えていると現実もこうなるということです。

これは世間でよく言われている「ポジティブシンキングが大事」とか、「思考は現実化する」とか、「悪いことも引き寄せる」などと言った、スピリチュアル的なことを申し上げているのではありません。

「引き寄せ」や「想いが強ければ叶う」といった発想はともすれば弱者思考となり、思考と行動から目を背けることを正当化することになります。

また、私は普段から「自己否定を乗り越えてこそ人は成長できる」と考えお伝えしていますので、ネガティブな台詞自体がダメだといっているのでもありません。

冒頭の台詞で言うならば「うちの会社は下請けだから苦しい」と、思考がここで止まっていることが問題です。

「この世界は言葉でできている。」── 当社のセミナーや過去の投稿でもお伝えしている世界観です。この世界のすべての「事実」というものは「言葉」を通してしか我々は認識できません。そして、言葉というのは人間が勝手につくったもので絶対的なものではなく、すべては解釈ということです。

この世界に絶対的な事実などなくすべては解釈ということは、「自分の解釈=世界」ということになります。言うなれば「思考は現実化する」ではなく「思考したものが現実」です。

冒頭の台詞では、
「うちの会社は下請け」
「下請けは苦しい」
「うちの会社は苦しい」 と経営者が解釈しています。そして問題は、この解釈のまま止まってしまうと、その経営者の中ではそれが絶対的な事実かのように固定化してしまうということです。

現実を変えたければ、この思い込みを崩していくことです。

例えば「うちは下請けで苦しい」と現状を定義して終わるのではなく、
「なにが当社を下請け体質にさせているか」
「自社で値決めをコントロールできない根本原因は何か」
というように、自社の定義ではなく、自社の現状を定義づけている状況(構造)自体に目を向けていく。

あるいは、もっと当たり前と思っていることすら疑っていくことです。例えば自社の業種や業態とか。自社が製造業というのも一つの側面からの見方でしかありません。「うちはものづくりの会社である」という言葉で発想を固定化させないこと。

ものをつくるということは価値を提供するための手段の一つにすぎません。バリューチェーン(価値づくりの一連の流れ・連鎖)の川中である製造の部分にだけこだわるのではなく、もっと川上や川下の工程にも目を向ける。あるいは自社で製造することが本当にいいのかどうかも疑ってみる。

このように、いま自分がどのような言葉で現実を解釈しているか、これを俯瞰し、疑い、壊していく。これが現実を変える第一歩となります。いまの自分の解釈を所与として考えないということが非常に重要です。

現代のマーケティングの土台となっているプラグマティズム(実用主義哲学)に「思考→行動の原則」という考え方があります。

①疑念(なぜだろう?)
 ②思考
 ③信念(ならばこうしよう)
 ④行動

人はこの4つのサイクルを繰り返して知識や考え方を進化させ、問題を解決できるというものです。

つまり、どのようなレベルで疑念を持つかによって、そのあとの思考も行動も変わってくるということになります。

より高い視点と広い視野で現実を捉えなおす。そういった「抽象思考力」を鍛え、事実の見方(解釈)を変えていくことで信念(決断)が変わり、行動も変わっていくのです。

そして、その抽象思考力を持つということに頭の良さは関係ありません。これは、言葉というものの構造や俯瞰した物事の見方・考え方を知っているか知らないかだけの問題なんです。

経営者が現状、そして未来をどう解釈するか、その捉え方で会社の命運は決まります。状況を打破するためには、まずはその状況をつくってきた言葉(思考)を捨て去り、より抽象度の高い言葉(思考)を知っていくことです。

自社や業界の捉え方や世界の見方が変わると、当然打ち手の可能性も広がっていきます。「打ち手は無限」とはよく言われることですが、世界の見方が限定的であれば打つ手も限られてしまうのは当然のことです。

もっと壊していかないと。

これまで慣れ親しんだ言葉、思考パターンを抱えたままでは、どんな本を読もうが、どんなセミナーに行こうが現実は変わりません。まずは知らぬ間にかけてしまっているメガネを外し、クリアな視界を手に入れることが先決です。

「打つ手は無限」― この臨場感を上げるためにも、今まで持ち得なかった新しい思考法をインストールし「疑念」のレベルを上げ、「行動」を変え、そして「結果」を変えていきましょう。

 

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