社長の「情報発信」媒体によって気をつけるべきこと―ちょっとした気配りが効果に繫がる―
前回のコラムでは、コラムやブログなどSNSで配信するもの、或いは地方紙やタウン誌などに投稿された文章として露出するものに関しては、文学的であること、インテリジェンスを感じさせることが大事、と述べました。ただ、メディアを利用した情報発信の形態は文章だけとは限りません。
新聞やタウン誌を紙媒体だとすれば、テレビやラジオは電波媒体ということになります。
このうち、電波媒体の方は、主にしゃべることでこちらの伝えたい情報を伝えることになります。
同じ言葉で何かを伝えるにしても、書いたものとしゃべるのでは大きな違いがあるのです。
またしゃべるにしても、音声だけのラジオとこちらの姿かたちがはっきりと映ってしまうテレビとでは、その伝わり方が大きく異なります。
ラジオのように音声だけで伝える場合、言葉に加えてしゃべり方の抑揚や強弱などで言いたいことのニュアンスを表現する必要があります。一方、テレビではそれに表情がプラスされるので、より言いたいニュアンスがストレートに伝わるかも知れません。また、そのときの姿かたち、即ち服装や滲み出る雰囲気などのちょっとした印象で、伝わり方が大きく変わってくる可能性があります。
電波媒体を利用する際の、見た目の好印象の作り方などは、様々な条件や専門的な要素が多く含まれています。そのために、書いたりしゃべったりするものの「内容」に特化してコンサルティングを行なう私のそれとは異なる専門分野になります。この分野については、印象コンサルタントやパーソナルスタイリストなどの専門職がありますが、ここでは私が心掛けている最低限の好印象の作り方をご紹介したいと思います。
まず、テレビに出る際にもラジオに出る際にも、服装はかなりきちんとしたものを、と心掛けています。というのは、私がしゃべる内容は、技術系とか、製造現場系などと違って、事務系、経営管理系ですので、スーツにネクタイといったビジネススタイルが基本になるからです。「ラジオは姿が見えないじゃないか。」という声もあると思いますが、最近では放送風景を撮影して必ずSNSなどにアップするために、いい加減なスタイルでいるわけにはいきません。
更に少し細かいところまで言えば、例えばネクタイなどは季節感の感じられる色とかデザインなどにも気を配ります。男性の場合、そんなところでしか「見た目」にも気を使っているんだぞ、ということを表現できないために、ちょっとした工夫が必要なのです。もちろん、スタイリストさんなど付くはずもないので、こういったことは自分で考えなければなりません。しかし、「情報発信」を有効なものにするためには、最低限必要な気配りだと思っています。
それでは、しゃべり方とかしゃべる内容はどうなのでしょうか。私の場合、普段ブログやコラムなどで書いたものをリライトして、後ほどラジオ放送の原稿としても使っています。
そのため、いずれにしても最初に書かれた内容がどんなレベルのものなのか、ということが重要になってくるのです。
その際にも、前回書きました「商業主義的に見えないこと」と「専門的過ぎてわかりにくくならないこと」に注意します。
ラジオなど、その日しゃべる内容について原稿は準備しますが、番組中にただそれを読む、ということは絶対にしません。
ラジオを聞いていて、ニュースなどは別として、トーク番組などで、書かれた原稿を読んでいる状況ほどつまらないものはないからです。つまり、その日のテーマに沿って話はしますが、目の前に置いてある原稿は単なる進行表みたいな存在になります。しゃべり言葉はあくまでもしゃべり言葉でなければ、聞いている方は面白くないのです。
「情報発信」の基本は、何といっても「正しく書かれた言葉」による伝達、だと思います。
そして、その表現方法はいろいろあってしかるべき、と私は思っています。
ということは、まずきちんと書かれた文章があって、それを伝える媒体によって微妙に表現方法を変化させる、ということになります。
こんな風に見てくると、なんだか難しそうに思えるかも知れません。ただ、最初の一歩を踏み出してやってみれば、それぞれにちゃんと関係性があって、それを使い分けているだけだ、ということに気が付くはずです。
社長による多重的な「情報発信」・・・やってみればその面白さや効果がきっと理解できます。
最初はコンサルティング的なレクチャーが必要だとは思いますが、このエキサイティングな試み、是非チャレンジしてみて下さい。
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