社長が「社員面談の悲劇」を避ける方法
会社の業績の良し悪しに関係なく、真面目な社長は、現場はどう思っているのかを知るために社員と面談をやろうとします。業績が好調の場合はまだしも、業績が芳しくなく組織が成熟していない状況で社員面談を行う際には注意が必要です。
このような会社の場合、社員は他責思考が多いので普通に社員から話を聞こうとすると次の3つのどれかに陥る可能性が高くなります。
① 「特に何もありません」と言われて終わる。
② 終始無難な世間話をして何も得られずに終わる。
③ 不満と愚痴の吐き出しの炎上の場と化す。
①から③を「社員面談の悲劇」と言います。①と②の場合は、社長は「特に大きな問題は何もないようで良かった」と思うのですが、問題が出てきていないので逆に良くないと思います。面談時に不満と愚痴の場と化した時、社長の気持ちはネガティブになるし、どうすればいいのかが分からなくなり、八方ふさがりになります。
「あぁこんなことなら面談なんてやるんじゃなかった・・・」
と後悔します。なぜこのような状況になってしまうのか?
それは事前に面談内容を決めていないからです。
何も決めずにやると、よほどコミュニケーション力に優れていたり、対応力がある人でなければ「最近どう?」的な世間話で終わったり、話すことが無くなって時間を持て余した時に「何か困ったことある?」といった話をします。
こうなった時に①や②となります。そして不満が溜まっていて物怖じしない社員の場合は「待ってました!」とばかりに社長に不満をぶつけてきます。社員面談の悲劇は社長が受身の状態で面談の主導権を握っていないから社員面談の悲劇が起こるのです。
20人以下の会社では管理職が機能していないことが多く、社長が管理職を兼ねているのでこのように面談を行うケースは多いです。面談をやっている会社はまだましで何もやっていない会社がほとんどです。だからこそ会社を良くしたいと考えている真面目な社長には社員面談の悲劇を起こしてほしくありません。
国内の企業数のうち小規模企業は全体の約9割を占めます。小規模企業の定義は従業員20人以下の製造業、その他の事業と5人以下の商業、サービス業です。
先ほど20名以下の会社では管理職が機能していないことが多いと述べたのでこのデータの数字を引用して想定すると、世の中の多くの小規模企業は同じようなことで悩んでいると考えられます。
私が支援している社員数7名の病院では、まだ管理職がいないので院長が面談を行っています。社員の面談をやるときは、それぞれが立てた月間目標、自分は何を目指しているのかといったことが記載されたシートを基に面談を進めます。
- 何のためにやるのか?
- 何を聞くか?
- 面談の最終ゴールは何か?
この3つを予め決めてから面談に臨む必要があります。社員面談には次のような効力があります。
① 社長が思っていること、会社の方向性を社員に伝えることができる。
② 信頼関係を構築することができる。
③ 社員のキャラクターを知ることができる。
④ 社長が知らなかった現場で起きている問題を知ることができる。
⑤ 社長と社員の認識のズレをなくすことができる。
簡単に説明すると以下のようなことです。
① 多くの会社では社員が、「社長が何を考えているかよく分からない、会社がどこに向かっているのか分からない」と言います。これは単純に社長が伝えていないからです。話す機会もそれほどないので、なかなか社員には伝わりません。面談時にこのようなことを話すことで社員に浸透させることができます。
② 定期的に話すことでお互いのことを知り、良い関係性を築くきっかけになります。人間関係が悪くなる根本的な原因は、お互いのことを知らず、小さな誤解の積み重ねなどによって起きることが多いです。
③ 会って話をしていくうちに、今まで知らなかった一面を知ることができることがあります。「彼はこういう人間だったのか」「意外とこんな面もあるんだな」と知らなかったりきづかなかったことを知る機会にもなります。
④ 社長は会社全体を見ていますが、現場で起きていることで知らないことは多いです。面談で現場での問題点や課題などを知ることができます。
⑤ 社長が指示したことを社員が理解していなかったり、勘違いをしていることがあります。面談時にこのようなズレを修正することができます。
社員面談を有効な機会にできるかどうかは目的の設定と事前準備で80%は決まります!
社員面談の悲劇にならぬように取組んでみてください。
コラムの更新をお知らせします!
コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。