安定売上に欠かせない、丸く収める売上方程式
「去年の9月ですね、そこから数人のお客様の脚が遠のいています。
カルテをよく見ておくんだった。こんなに、来ていただいていたのに、残念ですよね。
一度は手紙を出したのだけれど、そこ止まりです。
期間が空けば、来にくいですから、もっと期間が空いてしまう。でも、これは、放っておいてはいけない、ご指摘のとおりです。」
売上の安定には、新規顧客獲得だ!と、思い込んでいませんか。
新規獲得の為に、クーポンサイトに広告を打つ。
新規顧客割引セールを、実施する。
毎日の売上は、
売上総額=客単価×客数
だから、毎日客数を上げるために新規を追っかけて宣伝・施策を打つ。
確かに、客数を上げると売上は上がります。
ですが、客数の安定には、もう一つ、知っておきたい売上の数式があります。
売上総額=《過去客》売上+《既存客》売上+《紹介客》売上+《新規顧客》売上
収入源の客数を、《過去客》《既存客》《紹介客》《新規顧客》に分けると、対策が立てやすくなります。
この区分を知ると、新規顧客を追っかけるよりも、売上アップが簡単で楽になります。
顧客層の特徴をみると、既存客は、たいがいお店との関係がいい状態です。
ですので、この客層の売上は安定しています。
紹介客は、この関係が安定している既存客から発生しています。
安定的にイイ関係の既存客が、新規顧客を沢山紹介してくれるものです。
一方、紹介客は、過去客から発生している場合があります。
もし、紹介されて来店したのに、お店と紹介者との関係が切れてたら…、紹介客が、既存客になっていく可能性は、かなり低くなります。
さて、過去客は、ず~っとお客様であったのに、なぜか離れた。
理由をキチンと分かっていれば、まー仕方がない。
けれど、理由を把握していない、そもそも過去客になっていることすら気づいていない事は、経営にとって不快な問題です。
「63%」
この数字を知っていますか?
なぜそのお店に行かなくなったか、米国での大きな調査結果があります。
お店に行かない、理由には、もちろん「技術が悪い」とか「金額が高い」などのまっとうな理由が並ぶのですが、それは、たかだか20%
経営者は、80対20の法則でものを考えましょう。
効果のある数字に注目して下さい。
大事なのは、来なかった63%の理由です。
63%の人びとが、来ない理由、それは、「連絡がなかったから」
63%の人びとが、連絡がなかったから、お店に行かなかったのです。
技術の問題でも、お金の問題でもない、のです。
まじめな経営者たちは、ともすれば、自分達の非を求め始めます。
「従業員の態度が悪い」
「サービスの質が低い」
いいえ、連絡をしなかっただけです。
お客様を特定して、効果的な連絡の方程式を使えば、売上はすぐに上がるのです。
さて、実際に、サロン経営者と連絡すべきお客様の特定を始めました。
第一ステップは、「お客様カルテ」を《過去客》《既存客》《紹介客》《新規顧客》に分解すること
そこから浮かび上がったのが、《過去客》です。
あるところから、音信不通になったお客様です。
理由はともかく、「お詫びの手紙」が、丸く収める方程式です。
「でも、理由が分からないし、どこか安いとこ行ったかもしれないし、それにウチは、新規だからって30%引きなんてしていないし、また来て下さいなんてそれだけではね。とうすればいいですか。」
お詫びというと、原因があって、結果があるから、原因に対して改善しますを言わなければ、」とまじめな経営者は思ったようです。
でも、良く思い起こして下さい。
夫婦げんかでも、カップルの喧嘩でも、原因はよく分かっていますか?
奥さんが不機嫌な顔で、あなたを見ている……、理由は何かなんて問いただそうものなら、関係はさらに悪化するだけです。
理由はともかく、ただ「ゴメンなさい」と言うのが効果的な方法です。
これは、お客様に対しても同じ事です。
まず、「ゴメンなさい」を言うこと、それが丸く収める方程式です。
《過去客》のカルテをみると、一年以上コンスタントに来店があります。
このお客様の生涯顧客価値を足し算で求めると、その金額は20万円以上です。
「このお客様に本当に戻ってきてもらいたいという気持ちで完全『無料』をプレゼントしたらいかがですか?」
一回のサービス料金を仮に10,000円、原価率25%としましょう。
お客様から見れば、10,000円のプレゼントを進呈されています。
お店の負担を考えると、2,500円の費用です。
その効果は?
さすが経営者、すぐに答えが返ってきました。
「生涯顧客価値が、上がるって事ですよね。今までこんなに来ていただいていたのに、来なくなったから仕方ないでは、ダメ経営者ですね。」
顧客カルテの利用方法は、お客様特有の施術やサービスの記録・好みの記録などですが、お店にとっては、安定売上を得るための手っ取り早い情報を収集できる武器になります。
「ノグチ先生のあのエクセル表で管理してみます。
あれ、簡単ですよね。条件でソートすればいいわけですから」
従業員も見える簡単な表につくり直すと、皆ではがきを書く、お客様のことを話し合う、来店時のおもしろ企画を考える、仕組みが回り出しました。
安定売上には、新規獲得は欠かせない。
もちろんそうです。
でも、もっと簡単ですぐ効果がでるのは、「ゴメンなさい」の詫び状で、《過去客》へ、アプローチをすること。
おっと、その前に「顧客カルテ」を見直してくださいね、「顧客カルテ」は宝の山です。
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