会社が変わるのは社員が激しい言い争いをする「本音の会議」がされた時
「ウチの会社の会議が長い」
「ウチの会社は会議が多い」
「ウチの会社は会議をやっても意見がまとまらない」
「ウチの会社の会議は話す人は決まっている」
会議についてこのような話が出てくることは多いです。
世の中には会議の進め方について書かれている本やセミナーが沢山ありますが、私はここでは会議の進め方については触れず、業績不振の会社の社員が真剣に取り組みだした時に起こる会議についてお伝えしていきたいと思います。
印刷業のY社はここ数年業績が低迷していて厳しい状況でした。社員は真面目で素直な人ばかりですが、ミスが多いというのが改善する問題の1つでした。
私が相談を受ける前にいろいろなコンサルが入って業務改善をしたり、5Sに取り組んでみたものの改善は見られずどうしたらいいのかと悩んでいる状況でした。
私は部内の体制と部門間の連携に問題があるのではないかと推測していました。
ある日私は部門間の連携はどうなっているのかを製造のベテラン社員に質問しました。その人は最初のうちは穏やかに話していたのですが、次第に興奮してきて
「営業はミスをいつも我々に押し付けている。もっと部門間で協力すべきだ」
と言い出しました。私は中立の立場として営業のベテラン社員に聞くと、
「押し付けているつもりもないし、この間いろいろルールを決めたはず。我々は自分の仕事に責任を持ったプロ集団になるべきだ。」
と発言しました。その後もケンカのようなやり取りが続きましたが、私は止めることもなく見ていました。
「今までこのようなやり取りをしたことはあったのでしょうか?」
と聞いてみるとないとのこと。
多くの社員がこの営業のベテラン社員に対しては、良くも悪くも物を申しづらいというのは分かっていましたが、私はY社に訪問して4ヶ月くらい経って初めてのことでした。
納得いくまで話をさせて、「もう言い残すことはないか?」と聞くと「ない」ということで終わりました。終わってから製造のベテラン社員が
「あとでもう一度集まってしっかりと決めよう!」
と全員に投げかけていました。それから会社が良い方向に変わっていきました。
Y社のように前向きな口論が始まった場合、お互いに納得できるまでやった方が良いです。
私は、仕事や会社について真剣に考えているからこそお互いの意見をぶつけ合うのだと思っています。どうでもよければ、わざわざケンカをしてまで言い争うことはしません。業績の低迷している会社は会議をやっても意見を言わず、発言したとしても表面的なことを話すだけで無難に終わります。
会議で発言が出ないというのは、次の3つのパターンがあります。
① 全く何も考えていないから言えない。
② 言いたいことはあるけれど言えない。
③ 言いたいことはあるけれどあえて言わない。
一番引き出したいのは②です。
社内でのいろいろなしがらみや人間関係から本音を話せないということで起きていることが多いです。
本音の発言では、会社の核心をついたことや触れて欲しくないことが出るので感情が刺激されて場が荒れることがあります。もちろん荒れない場合もあります。
社長の立場からすると薄々は分かっていたけれど聞きたくない内容の話が出ることもあります。このような話が出た時に、内心は怒りがわいてきたり、動揺していたとしてもなるべく表に出さず、「よくぞ言ってくれた」というスタンスでいることが重要です。
もしこういう時に社長が「お前ふざけるな」と潰すような行為をすれば、もう誰も何も言わなくなってしまうでしょう。「何でも言ってくれ」と言っても社員からなかなか出てこないのは、言ったらどうなるかを考えているからです。
私は、普段何も言わない人が何かを言った時は些細なことだとしても、発言したという行為に対して褒めます。そしてみんなで何かを考える時にはあえてその人を当てたりして発言の習慣をつけさせるようにしています。
Y社では今まで会議でこのように言い合うということはなかったそうです。製造と営業のベテラン社員の一件を見て社員の中では思っていることを言おうという意識が芽生えたようです。
本音の会議ができた時、会社の良き変化への第一歩を踏み出したということです。
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