売上を上げたいなら営業マン募集は中止してください。
「営業マンの募集をかけて、営業力強化を図ろうと思っています。」
先日、新規事業が順調に伸びているクライアント企業の社長さんが、営業力を強化する方針を構想されていました。
確かに、伸びている事業なので営業力強化を図りたいところですが、藤冨は時期尚早だと判断して、営業ではなく「マーケティング部門」の創設と募集をするようにご助言しました。
なぜなら、同社の新規事業は「革新的な商品」なので、営業マンをポンと入れたところで、すぐさま業績に結びつくことは100%ないと分析したためです。
と言うのも、コモディティ商品を担いで業績をあげるには「価格競争力」と「営業力」がキーポイントとなりますが、「革新性の高い商品」は、「価値を広く伝達するマーケティング力」が業績向上のカギを握っています。
これを混同して捉えると、結果を出すのに非常に苦労をするからです。
例えば、コモディティ化した商品を取り扱う場合は、価格競争力と営業力の双方がなければ、成果を出すことができません。
自社に価格競争力の源泉となる「安い人件費」「グローバルな素材、部品の調達力」「大量生産の仕組み」がなければ、ただ単に利益を削るだけになってしまいます。
営業力も同じです。
売れなきゃ辞めろ!と現代では運営が難しい「人材の新陳代謝を起こす体制づくり」か、帰属意識を強くしながら、かつノルマで縛り上げる「アメとムチの営業体制」を作るなど、組織的に営業力を強化する体制が作れなければ、結果は出ずに終わります。
つまり、コモディティ商品を取り扱っているのであれば、営業力強化の方向性で良い訳です。
しかし、「革新性の高い商品」の場合は、「啓蒙活動」が必要となるケースが多々あります。上記のご相談企業は、まさにこの「啓蒙活動」が必須です。
啓蒙活動は、局地戦には向きません。
コストと時間がかかりすぎるからです。
啓蒙活動でニーズを浮き彫し、商品の必要性を説いていくのであれば、総力戦を仕掛ける方が、圧倒的にスピード感が出てきます。
30万円の給与を支払う営業マンを2名入れたら、半年で360万円のキャッシュアウトが発生します。
その投下コストで売上を想定しても、正直たかが知れています。
であれば、そのコストを持って広報活動、広告展開または、体験会や展示会への出展などマーケティング投資に使ったほうが、より売上をあげる姿がイメージしやすいです。
1対1の局地戦ではなく、1対nの仕掛けを打つことで、ターゲット像の鮮明化や売れる切り口や買い手の心に刺さるキーワードが磨きあがっていきます。
このステージをクリアした上で、営業マンの雇うのであれば両手をあげて賛成します。
商品の性質によって、売上をあげる方法論と手順が異なっていく。
聞いてしまえば当然と感じるかも知れませんが、当事者になると見えなくなることもあるので注意が必要です。
御社では売上をあげるための投資手順のピント…合っていますでしょうか?
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