活気ある職場で実践している ハラスメントにならない部下指導
今、多くの経営者や経営幹部、そして中間管理職の方が頭を悩ませていることのひとつに「部下の指導」があります。特に、ハラスメントにならないかに過敏になり、指導がやりにくくなったという声をよく耳にします。
どこまでが指導で、どこまでやったらパワーハラスメントになるのか。指導のつもりで当たり前のことを注意したら、翌日になって体調が悪いという理由で社員が出勤しなくなってしまったと頭をかかえる企業もあるくらいです。
これまでの努力が評価され管理職に登用された途端、難しい部下への対応に疲弊し、自らがメンタル不調になってしまったという、真面目で優秀な若手管理職の方もいらっしゃいます。
以前はこの「対応が難しい社員」が新入社員だったり、比較的若手社員であったのが、今はどの40代でも50代でも「難しい社員」が存在しています。年上部下ということです。そして、マネジメントする側の多くが、その難しい社員の言動を変えようとして指導をしているのです。
そのため、どうしても叱責や注意などの否定的な言葉が多くなってしまうのです。相手を変えようとするのですから、相手の今を否定して、「こうすべき」「こうなって欲しい」と思っての指導ですから、否定が多くなってしまうのもやむを得ません。
上司から注意されたから、言動を直さないといけないのだと素直に受け取ってもらえれば良いのですが、そうならないから、対応に苦慮するのです。否定された方はより頑なになり、まるで「人格を否定された」とばかりにハラスメントとして問題視する場合もあります。
ここで、「どんな言い方だったらハラスメントにならないのか」、「どこまでだったら許されるのか」をいくら考えても正しい答えにはたどり着きません。そもそも相手を否定して、変えようとするその考え方がある限り、言葉だけを変えても根本解決にはなり得ないのです。
では、どうしたらよいのか。
今日は、解決策の一つとなるヒントは、心のメカニズムを知りマネジメントに活かすということ。
今やSNSで誰もが発信できるようになり、日々の出来ごとだけではなく、自分の考えや行動に対してどれだけ「いいね!」など承認や応援をもらえるかが、まるで自分自身の存在価値を証明しているかのようになりつつあります。
どれだけ多くの人とつながり、承認してもらえるかに多くのエネルギーを使っているのです。それだけ、いかに認められるか、誰に認められるかが大切な価値観になっているということです。
そう言われて、そのような価値観を職場に持ち込んでもらっては困る。社会人なのだから、プライベートと職場をきちんと分けてもらわなければとお考えの経営者もいらっしゃることでしょう。
ですが、自らの存在意義に結び付いているため、否定されたことがそのまま自分の存在を否定されたと捉えてしまうのです。また、否定した相手の考えを受け入れられず、自分と価値観の違う相手に対しては、否定する、責めるという言動で反撃してしまうということです。
これは良い悪いではなく、ある意味、未成熟な心のメカニズムがあるということ。まずは、相手を変えるという考えではなく、まずは相手を理解するという態度で臨むということです。これを知っているか、知らないか、あるいは知っていて無視するかは、マネジメントにとって大きな違いとなって表れるでしょう。
実際に職場の雰囲気が良い会社においては、ポジティブな言葉が行き交っています。といって、相手を理解するという姿勢を待たずに、言葉だけをポジティブに言い換えたところで、これまた失敗してしまうのですが、「相手が間違っている」「相手が変わるべきだ」というご自分の感情に気づきつつも、理解しようと関わることが最も大切なのです。
まずは相手を理解しようとする姿勢が、信頼関係の土壌づくりには欠かせないのです。
コラムの更新をお知らせします!
コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。