第102号:安定成長する会社と、先細りする会社の、社員に対する動機付けの違い
「弊社の社員は経営に対する危機感がないんです。どうしたら危機感を共有できますか?」
注文住宅会社の経営者からの経営相談での話です。
詳しく聞くと、売上は少しずつ上がっているものの、競合他社との価格競争が激しくなり、利益率が少しずつ下がっているという現状らしく、利益の確保のためにも、さらに売上を上げていく必要があるが、現場は売上目標達成に対する意欲が低く困っているとのことでした。
このように、競合他社との価格競争に巻き込まれ、利益率が下がると、売上をさらに上げることでそれをカバーしようとする会社さんは少なくありません。
このスパイラルに入り込むと、住宅会社さんであれば、現場の社員は売上確保のために利益率を下げてでも契約を取りに行ったり、契約のために様々なサービスを約束したりしてしまいます。それにより、契約後から施工引き渡しまでの業務が多忙になっていきます。現場は少ない予算で顧客満足を提供したいと考えていても、実際にはオーバーワークとなり、顧客のクレームが多発しがちになります。
会社の利益確保のためには新しい契約が必要になることはわかっているものの、現場の手が回らず顧客満足が提供しきれない現状を考えると、会社全体が売上を追求するという意識にはなりきれないのが現状です。
すなわち、危機感を持って仕事をするということだけでは現場は何ともならない状況になってしまうのです。
一方で、安定成長している会社は何が違うのでしょうか。
安定成長する会社は、価格競争に巻き込まれることなく適正利益を確保しています。適正利益を確保できる会社は明らかに他社と違う独自性があり、価格競争に巻き込まれることなくその会社の「技術」「サービス」「考え方」で選ばれています。
したがって、スタッフもお客様に振り回されることはなく、独自の「考え方」で「商品」や「サービス」の品質基準が決められ、その基準通りに仕事を進めることで、お客様の満足を生み出すことができます。
先細りする会社は危機感で社員を動機付けしようとしているのです。
安定成長する会社は「ビジョン」や「戦略」で社員を動機付けています。
最後は、人材格差が大きな企業格差を生み出すといわれますが、人材格差を生み出すためには人材が生きるような経営者の「ビジョン」や「戦略」が最も重要になるのです。
価格競争に巻き込まれて悩む経営者の方は、社員の教育に意識を向ける前に、今一度、自社の戦略を見直してみてください。
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