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対岸の火事を見物する社長、自ら点検する社長、タネを発芽させる社長

SPECIAL

商品リニューアルコンサルタント

株式会社りぼんコンサルティング

代表取締役 

商品リニューアルに特化した専門コンサルタント。「商品リニューアルこそ、中小企業にとって真の経営戦略である」という信念のもと、商品の「蘇らせ」「再活性化」「新展開」…など、事業戦略にまで高める独自の手法に、多くの経営者から注目を集める第一人者。常にマーケティング目線によって描きだされるリニューアル戦略は、ユニークかつ唯一無二の価値を提供することで定評。1969 年生まれ、日本大学芸術学部文芸学科卒。

弊社のコンサルティングを受けたある経営者の方からメールをいただきました。今、世間を騒がせている日大アメフト部問題を引き合いに出し「風向きが変わっていることに気がついていない恐怖」について胸の内が綴られていました。

たまたま、社長ご自身が日大ご出身。テレビやインターネットのニュースで晒される母校の姿が胸に迫り、数年前の自社の姿を思い出して恐ろしくなった、ということです。この会社では約3年前の夏、信頼していたベテラン社員がお客様から預かった代金を着服するという事件がありました。さらに、遣いこみの数々と顧客名簿の持ち出しも発覚しました。

社長にとっては寝耳に水。先代から受け継いだ「家族的な組織」づくりを推進していただけに「どんな企業でも、どんな社員でも不正とは無縁ではない」という現実を思い知らされました。時間をかけて育ててきた顧客との信頼関係が一瞬にして壊れる出来事で、今でも夜中に悪夢で目覚める。背中にはイヤな汗がべったりとはりついている、と綴られています。

さらに「日大アメフト部の件でゾッとするのは、お客さんが変わってきていることです。世の中の風向きがアッという間、すごいスピードで変わっていることです。このスピードが恐ろしい。今、自社はどうだろうか・・・」と。そして、「弊社のお客さんも、数年前まではテレビや新聞が主な情報源だった。今はネットニュースの時代。スマートフォンも使えなかったシニアの方が、今ではお孫さんとLINEを楽しんでます」と。そして、自社商品とサービスを改めて点検し手をうっておく時期ではないか、と結ばれていました。

日大アメフト部問題についての傾向としては、マスコミをはじめ、コメンテーター等の芸能人、各界の識者のほとんどが、自社またはご自身の問題は棚に上げた状態で「批判に同調」する姿勢です。「お茶の間」であれば、テレビやネット世界をひとつの「劇場」として楽しめば良いのですから何も問題はありません。しかし、もしもビジネスにおいて、経営者がこうした事象に対してお茶の間レベルで向かい合っているとすれば非常に危険なことです。

めまぐるしく動く日々の社会情勢や経済情勢において、会社規模に関わらず、同業他社がひしめき合う危機感の中、社長は迅速な決断と指示で、前に進めてゆかなければなりません。

例えば、直近で話題になっている

  • セクシャルマイノリティの方がパートナー関係をコミット
  • 欧州連合の「一般データ保護規則(GDPR)」の施行
  • Google Home出荷数 初の首位
  • AIやロボットの台頭
  • 暗号通貨に見るブロックチェーンによる変革・・・

バラバラに見える事柄も実は一つ一つがつながっています。生活レベルで“世の中の風向き”が大きく変わってきている時代ゆえ、日々真剣に取り組んでおられるほど「壁」にぶち当たるはずです。ひとつの出来事を発端に、“世の中の風向き”が変わったとき自社はどう対応するのか、経営理念に照らし合わせ、商品サービスはどうなっていくのか。どこのステージを目指していくのか。何を持ってして乗り越えた、とするのか・・・。

中小企業と小規模事業者にとって、商売の永遠不滅の法則は「商品サービスが売れて売上があがる、粗利が取れて利益があがる、上がり続ける」こと。この構造を創ることに他なりません。ひとつひとつの「出来事」に対して、対岸の火事として見物しているのではなく、自社に落とし込み点検し、自社商品サービスのブラッシュアップを図ってゆく貪欲な思考が求められています

経営危機が叫ばれるサッカーJリーグ「V・ファーレン長崎」。ジャパネットたかたの創業者髙田明氏が社長に就任したことはあまりにも有名ですが、「勝てば観客が増える。強ければ観客が増える」そういう気持ちで経営し「応援に来た人が次からがんばろうと思うこと、これがスポーツの果たしている役割。勝ち負けだけだったら続かない」と提言されています。

わたくしの商品リニューアルコンサルティングにおいては、「事件=ブーム」と視ます。ブームによって「商売繁盛」することも、事件によって「お客様が去る」ことも、どちらにも必ず終わりがきます。どんな環境であっても売り込んでゆける精神力、気概、叡智で突破口を開く図太さ。利益を上げ続けるという強い気持ち。思うに任せない経営環境を嘆くこと、批判すること、立派な〇〇論をぶることではなく、実務の世界でどんな逆境に立たされてもあきらめない気概。これらを持ってして、さらに「別の見方がある」ことに気づくこと。ユニークな商品リニューアルの創造的思考法こそが壁を打破する力となります。

日大の事例では、晒されている状況、批判や中傷さえも「好機」ととらえる姿勢です。強烈な向かい風が吹こうとも、断崖絶壁にいようとも、たとえ孤立無縁であったとしても、一にも二にも商売を続けてゆくために商品サービスを販売し、行動してゆかなくてはなりません。事件により露出が増えた今、もう一度、自社商品とサービスをリニューアルするのです。徹底した生活者視点を探るのです。そして、原点に立ち返り、企業姿勢のリニューアルをし挑戦してゆくのです。焼けた土壌に眠るタネの覚醒に気づき、しっかりと発芽させることが求められています

冒頭のメールをくださった社長は、自社を棚に上げることなく自分ごととしてラフプレー問題を考え、ひるがえって自社において顧客心理や感覚の変化へのズレを点検されたいということです。商品リニューアルコンサルティングとは経営戦略そのものです。そして戦略を指揮する経営者が商品リニューアルの思考法をしっかりと定着させることで、固定観念をはずす「思考習慣」へと昇華させ、事業を大きく伸ばしてゆく根源的で本質的な力、そのものになるのです。

 

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