第100号:一流の経営者は何のために働くかを追求する。二流の経営者はどうやって稼ぐのかを追求する。
「保険業界もネット販売が増え、ますます契約が取りにくい状況になってきました。さらに手数料も年々少なくなり、稼ぐことが難しくなってきています。今後、どのようにビジネスを考えていけばよいか悩んでます」
ある起業家交流会の席で保険代理店の経営者から受けた相談です。
保険業界に限らず、多くの業界の市場は成熟し、同業他社との価格競争がますます激しくなり、利益が出しにくい状況になっています。この現象は、市場の成熟化だけが原因ではなく、情報革命により簡単に企業情報が入手できるようになったことで会社の評判が良いところにお客様は集中し、評判の良くない会社はお客様を奪われるという状況が起きているからです。
どんな業種、仕事であろうが、お客様の問題に寄り添い商品サービスの品質を常に向上して顧客満足度を高めている企業にお客様が集まるのです。どんなに伸びる市場でビジネスをしていても、顧客ニーズの理解が浅い会社はお客様が離れていくのです。
考えるヒントとしては、例えば、自分の仕事を「保険業」という発想から「不安解消業」という発想に転換してみるのです。自分が保険業だという認識をしていることで保険業という枠に囚われてしまうからです。「不安解消業」に発想転換して考えた時に、顧客満足を実現しているかどうかです。消費者は、良い保険を契約する事が目的ではなく、自分の将来のリスクに対して安心して生活することが目的なのです。消費者は商品の善し悪しだけで判断しているわけではなく、自分に必要であるかどうかで判断しているのです。
顧客満足のためには、良い商品だけでなく、お客様の問題の本質を引き出し、この問題に対する改善策の提案をすることが重要です。お客様の不安解消をする手段は、保険商品だけでは賄えないかもしれないのです。保険のラインナップだけでなく、お客様の不安解消のための保険以外の商品ラインナップも揃えるなど対策して、お客様の不安に寄り添いながら提案することが重要なのです。その際、お客様が最もリスクに感じていることは何かを引出すヒアリング能力と、お客様がまだ気づいていないであろう将来のリスクに気づかせるプレゼンテーション能力が必要です。
これからの時代に、何をやれば稼げるのかという発想ではなく、自分のビジネスは「誰の」どんな「問題」を解決していくことなのか、という仕事の目的を明確にすることです。そして、その目的に向かって商品が最適であるか、サービスをどのように向上していくべきなのかを理解していることが重要です。それは企業の存在理由を明確にすることであり、その存在理由の追求こそがビジネスの成功のカギなのです。
日本の経済は成熟し、人口も減少傾向にあります。そんな中でビジネスをしていくためには、自社の存在意義を明確にし、その追求をすることでお客様から選ばれ続けるビジネスモデルを構築することです。
他の業界に目を向ける前に、自分の大切なお客様の真の問題に目を向けてみてください。
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