評価の基準は今の自分でなく、20年前の自分
25年ほど前に会社でお世話になった大先輩を囲む会にお声をかけていただき、参加する機会がありました。久しぶりに懐かしい人たちにお会いして、まだ30代だった時のことを思い出しました。
毎回、幹事役は当時入社1~2年目の社員だった人。25年も経つと、新入社員だった人たちも、今や支店長や部長になっておられます。おそらく、それぞれの職場では普段はやらない仕事をところ変われば、縁の下の力持ちとなって実践する。年功序列という日本の習慣がなせる技でしょうか。
さて、会社においては、誰が、何を、どうするというのは口で言うほど簡単ではありません。特に、中小企業の場合、社長が、何を、どうするというのはかなり難しい問題です。
先日も、ある会社から「社長がもっと経営に専念して、業績を上げたいので、業務改善に取り組みたい」というご相談がありました。
営業が得意な社長がトップセールスすれば、やはり売上は上がります。けれども、社長も新入社員も1日24時間、1年365日というのは変わりません。このため、いくら社長が頑張っても、一人で伸ばせる売上の金額には限界があります。
そこで、営業であれば、営業部長を育てて、社長は徐々に現場から離れて、会社全体の動きを見て、経営判断を行う段階に進む必要があります。
そのプロセスにおいて、一時的に売上の伸びが小さくなる、取引先との間で予期せぬトラブルが起こる、目をかけていた社員が退職してしまうといったようなことがあります。それでも、その過渡期のイライラを我慢して、さらに業績を上げる段階に進めるかどうか。
1年、2年という期間で見ると、物足りないことが多いかもしれません。けれども、20年、30年という長い目で見た時はどうでしょうか?
私が一緒に働いていた当時は少し頼りなさげだった人も、名幹事としていろいろなところに目配り、気配りしている姿を見て感じたのは、歳月を重ねて人は育つということです。
親からすれば、いくつになっても子供は子供であるように、社長からすれば、何年経っても社員はちょっと頼りない社員かもしれません。しかし、客観的に見た場合、たいていはその社員もいきいき働く、頼もしい人です。
もし、現在50歳の社長が30歳の社員を評価するのであれば、比べる際の基準とするのは今の自分ではなく、20年前の自分。社長が一つ仕事を手放せば、ビジネスチャンスは少なくとも2倍に広がります。
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