第98号:自分の強みを最大限に引き出すミッションのつくり方
ある飲食チェーン店のオーナーから、先日、経営相談がありました。
内容を伺うと、「最近、価格競争に巻き込まれ、業績が低迷してきている。自社の強みを明確にする必要があると思うが、なかなか強みが見つからない。強みはどのようにして見つければ良いのか」という相談でした。
中小企業や商店は今、厳しい経営環境におかれています。同業者間の価格競争や大手チェーンの参入、原材料費や人件費の高騰、少ないパイの奪い合いに、疲弊している経営者が多い現状です。そこで多くの経営者は、無数にある競合他社と自社を比較して自社の強みを探して何とかしようとするのですが、大手と比べ、商品の調達力や人材の採用能力に劣る中小企業がそれをやろうとしても、当然、競合他社に対する差別化のポイントは見えにくいと思います。
そこで気づいて欲しいのは、競合他社ばかりに目を向けるのではなく、自社の戦う市場に目を向けることです。市場とは、自社が「ビジネス展開している業界」のことではなく、自社が「対象としているお客様」のことです。その市場のニーズが多様化しているのです。この状況はますます進むと予測されます。
自社の強みを生かすためには、まず対象顧客を絞り込むことです。そして、顧客の真のニーズを最も理解できる市場でビジネスを行うことが中小企業にとって重要なことなのです。ですから、顧客のニーズを理解していることが最大の強みなのです。ニーズが多様化している時代において、自分の強みを最大限に生かすには、顧客ニーズを明確に理解できる市場を選択することが不可欠です。逆を言うと、顧客ニーズを理解できてないということは、いくら競合他社に対する競争優位性があろうが、顧客はその商品やサービスを選んでくれないということです。そして、顧客ニーズを理解するためには、まずどんなお客様のニーズにお応えするのかが明確である必要があります。
消費者は、競合に対する商品の差別化に関心があるのではないのです。顧客が関心のあるのは、「自分にとって最適なブランドなのかどうか」なのです。
ビジネス成功の可能性は、市場選びで8割方決まります。誰のために店を運営しているのかを明確にすることで、そこに共感したお客様やスタッフが集まってきてくれるのです。
ニーズが多様化している時代だからこそ、「何をやっても成功する可能性」と「何をやっても失敗する可能性」があります。
何をやるかよりも、誰のためにやるかというミッションが重要です。
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