社長の「情報発信」はやがて還流する―インプット、アウトプット、そしてインプット―
以前、私は
― 経営者は、インプットには熱心に取り組む人が多いが、それをアウトプットする人が少ない。経営者はもっとアウトプットに取り組むべきだ。―
と書きました。
そのとき、アウトプットには2つの効果があるとも書きました。それは
- 自分のスタンスや考えは、アウトプットという形できちんと伝えれば伝えるほど他者からの理解が深まる。
- アウトプットすることで、インプットされた情報が、自分の頭の中で整理され、記憶にも定着する。
といった内容でした。
しかし、アウトプット即ち「情報発信」には、さらにもう一つ建設的な意味での大きな役割があります。それは
- アウトプットは必ず次のインプットを生み出す。情報を発信すれば必ず新しい情報が返ってくる。
ということなのです。
例えばこのコラムです。私はこのコラムを1週間に1本必ず書いていますが、種明かしをすれば、実はこの1本を書くために、間の1週間は、常に何かしらインプットしなくては、と、四苦八苦しています。
普通に生活しているように見えて、いつも鵜の目鷹の目でネタ探しをしているのです。
更に種明かしをすれば、これは!というネタが見つかったならば、書くこと自体はもう慣れていますので、もうそれほど苦ではありません。
それよりも、このインプットすべきネタ、テーマ探しが大変なのです。
書くまでの大変さはさておいて、このコラムをずっと発信し続けているとどういったことが起こるでしょうか・・・実は、それに対して何かしらの「反応」というものが返ってくるようになります。
例えば、自分が進めているコンサルティング事業に関して
「このままでいいのだろうか?やり方は間違っていないだろうか?」
といった疑問は、常に頭から離れないものです。ところが、コラムを読んだ方から
「この間のコラムすごくよかったですよ。どんなコンサルティングをなさりたいのかよくわかりました。」
といった反応を聞くと「ああ、これでよかったんだな。」と確認できる訳です。
また多くのコンサルタントが集まるサイトでのコラムランキングもありますので、その順位も参考になります。大して自信のなかったコラムが上位にランクされたり、これは!と思った自信作が意外に不評だったりと、こちら側の思いだけではままならない場合が結構あるのです。こういった反応のちょっとした変化も、一つの情報として、私の中にインプットされることになります。
また反応は、必ずしも「感想」とか「返信」とか「順位」とかいった直接的なものだけではありません。例えば、知人である社長に、「セミナーを企画しているんですが、どうも集まりが悪くて・・・」といった相談をするとします。そうすると、その社長が私の考えに賛同してくれそうな人に声をかけてくれます。また、それだけでなく、コラムやラジオなどの視聴者、読者、知り合いといった人々が集客に協力してくれます。これは普段、私の考え方や方向性についてよく理解をしてくれているからにほかなりません。これなどは「情報発信」に対して「反応」が、とてもありがたい形で返ってきた良い事例と言えるでしょう。
このように、常に前向きにアウトプットを継続していれば、その発信に対して山の木魂のように必ず何らかの形で反応が返ってきます。
そしてそれは、新たなインプット情報としてこちらに刻まれ、蓄積されていくのです。
つまり、情報というのは一方通行ではなくて、常時還流しているという意味で流動的です。
常に動きを止めようとしないこの世の中に適合する新たな価値は、こういった流動性の中からしか生まれてきません。
価値創造は流動性の中にある、といっていいのです。
事業というものが、この新たな価値をいつも求めているのだとすれば、インプット、アウトプット、そしてインプットと繰り返すことで、その価値を生み出していくことは、経営者にとって必須の条件なのです。
経営者が「情報発信」即ちアウトプットすれば、必ず何らかの反応は返ってきます。それを再びインプットすることで、更なる成長が図れるのです。
情報を発信し続けていれば、やがてそれはいい形で返ってくる、そう信じて社長の「情報発信」に改めて向き合ってみて下さい。
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