企業経営にも影響を及ぼす「ブロックチェーン」の正体とは
「ブロックチェーンがインターネットよりも大きなインパクトをもたらす技術革新と言われて気になっています。どんなインパクトを与えるのでしょうか?」
先日、ある会合の前にご質問を受けたので、藤冨なりの解釈をコメントさせてもらいました。
一言で言うとブロックチェーンの正体は「非中央集権化システム」です。
国家という中央集権に対するアンチテーゼ。
サーバーによる中央集権型の情報管理に対するアンチテーゼ。
何か一つの主体によって管理されていた「枠組み」を取っ払ってしまい「超民主主義」の世界を作ろう!と考え出された技術です。
昨年より社会を賑わせている「ビットコイン」を開発する際に用いられた技術ですが、暗号通貨の枠を超えて、今この「超民主主義システム」の思想が広がりをみせています。
私もこの新技術をちょうど1年前にあるセミナーで知り、衝撃を受けました。
「これは社会が変わる!」と。
そして、その影響度を身体で感じるために、私自身2017年4月にビットコインに積極投資をして、感度を高めてきました。
身銭を切れば、必然的に勉強しますからです。
元日銀マンが書籍で「ビットコインは投機でありバブルである」などと危険性を煽っていますが、同書を熟読すると決して論理的解説とは言えないのでは?と個人的には感じています。
詳しい説明は避けますが、ビットコインの本質は、投機ではなく、資本逃避だと私は捉えています。
2017年5月のメルマガにも書きましたが、ビットコインを信じるか、それとも現物紙幣を信じるか。そういった観点からみたときに、国を信用していない富裕層を中心に、外国紙幣ではなく世界通貨を標榜するビットコインに資本が移動したと見る方が自然なのでは?と感じるからです。
2017年11月14日の日経新聞の1面には、「マネー膨張 踊らぬ経済」と題して、世界の中央銀行が溢れるようなお金を流しているにも関わらず、経済が活性化しない…と警戒を鳴らしていました。
ドルの崩壊、人民元の行き詰まり、その影響をもろに受ける日本円の危機。
現実となるか否かはわかりませんが、その危機に対する「資本逃避」が、ビットコインを過熱させてきたのは間違い無いでしょう。
少なくても、私はその着眼点のみで勝負をしてきました。
その確信に至った背景は、1969年に発刊されたドラッカーの「断絶の時代」で指摘されていた基軸通貨の限界、世界通貨の必要性にあります。
貨幣の持つ純粋なる経済機能だけを生かし、各国政府の政治的な機能は切り離すべきだとも、警告しているドラッカーの主張に強く共感していたので、最初にビットコインのロジックを勉強したときに「これか?!」とアンテナが立ちました。
(注! 今はビットコインが世界通貨になるとは思っていません)
藤冨の著書では、インターネットが企業の営業活動を大きく変えたとお伝えています。
営業マンの持つ情報提供力が、インターネットに移転し、飛び込み営業やテレアポなどのプッシュセールスの成果が著しく落ちて行きました。
インターネットが巻き起こした「知の移転」は、セールス環境を変え、事業環境自体も大きく変えてきたはずです。
それと同等のインパクトが2018年以降にブロックチェーンが巻き起こすのは間違いありません。
「インターネット」は、「通信技術の進化」と「デバイスの進化」によって、市民権を確固たるものにしてきました。
3つの技術的進化が揃うと、その技術的進化は、社会に深く浸透していくと藤冨は仮説を立てています。
では、ブロックチェーンは?
「ブロックチェーン」
「ビックデータ」
「人工知能」
この3つの技術的進化が、密接に絡み合って来るでしょう。
ITのセールスマンを長年やってきたので、この感覚に狂いはないと確信しています。
ブロックチェーンは、平たくいうと、何か一つのもの(政府、企業、個人など)に信頼を依存するのではなく、みんなが承認したものを「正」としましょうよ!という仕組みが基本的な技術的思想となっています。
銀行マンにお金を預けておけば、安全!
普通はそう思うでしょう。
しかし、それは観念的に安全と思っているだけです。
現実、行員の着服事件は、過去に何度も起きています。
何か一つのものに絶対的信頼を寄せるのは、リスクが潜んでいるわけです。
ブロックチェーンは、ここを突きました。
みんなが見ているところで、お金を預け、「あなた見ましたよね。そっちのあなたも見ましたよね?」と複数の承認が取れたものだけを「正」とする方が安全でしょ?と。
そして、いったんみんなが見た!という情報を改ざんされない仕組みにして、「真実の履歴」を確固たるものにしているわけです。
もちろん、これはお金だけの世界ではありません。
健康にまつわる各種データ(血液検査の結果や体重など)、学習履歴データ、契約データ、貿易データ、気象データなどなど、様々な「真実」を蓄積、保管していけるわけです。
2つ目の技術は、今申し上げた通りのビックデータです。
センサーや、情報の電子化技術など、ビックデータを収集する技術は、現在日進月歩で進化しています。
毎年1兆個のセンサーが消費される世界が来るとも言われており、いわゆる IoTに拍車をかけています。
しかし、もう10年以上前に「ビックデータの時代がくる」と言われたとき、藤冨の頭には「?」マークがつきました。
データ分析屋の営業をしていたので、そんな大量データは誰も分析できないよ!と直感的に感じたのです。
ところが、次に挙げる3つの目の技術が、その使えないビックデータを使えるものとして、飲み込もうとしています。
それが、「人工知能(AI)」です。
様々な事実データ(ビックデータ)がブロックチェーンに格納され、人工知能がそれを管理したり、分析する時代。
この現実は、様々な産業、業界、企業、事業、仕事、生活に網の目のように入り込んで来るはずです。
この社会的な変革、時代の大きな変化にただ流れ、飲み込まれるだけで終わるのか?
それとも、自ら仕掛ける側に回るのか?
これは、企業の栄枯盛衰に関わる重要なポイントになるのでは…と藤冨は感じています。
この時代の変化は、2018年から本格化します。
御社は、流れを見守りますか?
それとも、自ら仕掛ける側に回れるよう、アンテナを高くして行きますか?
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