自社のことを知らない店舗スタッフが多い理由
店舗スタッフが成長するには、店舗での業務(ルーチン作業や接客サービスなど)だけをただ漫然とやるのではなく、社内外からの刺激が必要です。具体的には、研修や講習、セミナーや勉強会、資格や検定などが挙げられます。
社内の半径100m以内で同じ顔触れと毎日過ごしていても成長には限界があります。新しいことのインプット、そしてアウトプットする場がないことにはスタッフの成長はおろか、店舗のレベルが落ち続けていくだけとなります。
とはいえ外に出ていくだけが成長の起爆剤となるのではありません。より内部を深く掘り進めるのも、成長には欠かせない要素となります。つまり、自社のことや業界のことをもっと深く知るために、調査や研究をすることです。
調査や研究と言っても難しいことではなく、業界の歴史や競合他社の状況、自社が提供するモノやサービスの変遷など、まずはネットで調べられるような簡単なことから始めればよいのです。業界のトップは何をやっているのか… 自社との違いは何か… どういうサービスが流行っているのか… 自社のライバルはどこか… 客単価は… 客数は… 客層は… 調べることはいくらでもあります。
少し調べればすぐに情報が手に入る本当にいい時代なのですが、私の経験や周囲の状況、他社の様々な情報を総合すると、店舗ビジネスに関わる多くのスタッフは、悲しいことに自社や業界のことをあまり知りません。興味がないと言っても過言ではないような気もします。もちろん全員ではなく、なかには非常に広範で詳しい知識や技術を持ち、会社を引っ張るような人財もいますが、残念ながら少数派となります(すぐに独立します)。経営者の皆さんもスタッフにいろいろと業界のことを聞いてみてください。自社のことも含めて、びっくりするくらい知らない、答えられないことが多いですよ。
ですから最初は、業界や自社の研究を課題として取り組ませることも有効な手の一つです。はじめはいやいやかもしれませんが、慣れてくると自発的に調べるようになります。最初の一歩はエネルギーが必要なのは何でも一緒ですね。残念ながら放っておくと何もしないスタッフが多いのですから、それを理解して、最初の一歩を会社のサポートで踏み出しやすくすること、その環境づくりをおこなうことが経営者の重要な仕事です。
近視眼的な働き方をしていると、成長しないばかりか根拠のない不平不満を持つようになることも多々あります。視野が狭く、知識も少ないことで、正常な判断ができなくなるのです。自分の仕事ができないことを棚に上げて(仕事ができないとは思っていないことの方が多い)、待遇に不満を持ち、周囲にまき散らすこともあります。こんな風に仲間内だけの価値観で生きていると、間違いなく時代の流れに取り残されます。
しかし、この状況を作っているのは経営者である自分自身なのです。スタッフは自分の鏡だということをまず理解し、スタッフの成長のために、「社内外からの刺激」を与える役割を全うしなければ会社の未来はないでしょう。
経営者の皆さん、最初は半ば強制的にでも、自社および業界の調査、研究をすることをスタッフの課題にしましょう。「自分はこのままじゃだめだ」と気づかせるのも経営者としてもっとも重要な仕事のひとつなのです。
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