第94号:寡占化時代に知っておきたい3つのイノベーション
市場の寡占化がますます進み、それに伴って安定成長する会社と衰退する会社の差の開きが大きくなってきています。
その要因のひとつには、スマートフォン1つあれば簡単に多くの情報が手に入る時代になり、商品や企業の比較検討が手軽にできるようになったことがあります。それによって評価の良い会社やお店にはお客様が集中し、評価の悪い会社やお店はますますお客様が奪われしまうという現状が起こっています。さらに今後はAIの発達などにより、さらに市場の変化が激しくなっていくと予測されます。企業が生き残っていくためにはイノベーションしていくことが求められています。
このイノベーションという言葉、最近は耳にすることが特に増えてきたと思いますが、中小企業にとっては、どのようにイノベーションするかが生き残りのカギになります。
イノベーションを考えるとき、今後、市場の拡大が見込める「高齢化市場」「インバウンド市場」「ドローン市場」に参入し多角化経営を試みる企業が少なくありません。しかし、こうした新規事業は、スタートは良いのですが2〜 3年もすれば競合が増え、経営が厳しくなって会社の存続を揺がす事態になりかねないのです。少し前を振り返ってみても、介護事業や太陽光発電事業といった市場拡大が見込めるとされた事業に参入し、最初は勢いがよかったものの、あっという間に倒産してしまった企業がいくつもありました。リスクヘッジのつもりで行った事業が、逆にリスクになってしまったのです。
そこで中小企業には、まずはもっと身近なところで重要な3つのイノベーションをしていくことを薦めます。
1つめは「モノからコト」へのイノベーションです。
情報革命によって選択肢が膨大に増えたことで、お客様は逆に自分に最適な商品や企業をどう選択して良いのかわからなくなっています。自社の商品を売込むスタイルではなく、自社の商品やサービスが、なぜお客様に必要かを的確に伝える仕組みに改善していく必要があります。
2つ目は「量から質」へのイノベーションです。
今は各企業の商品に、さほど大きな違いがありません。こうした場合、お客様はそのお店の客層に影響されて、そのお店の商品やサービスを評価します。ですから企業側は安易な方法で集客活動をして客数を増やすのではなく、質の良い客層に支持して頂けるように集客も考えなければいけません。
3つ目は「売上より利益」へのイノベーションです。
売上が上がれば利益もついてくるという思い込みをしている経営者がとても多くいます。そういう思い込みをしていると、売上を上げるために割引をしたり、商品を増やしたりしがちですが、そうすると労働生産性が下がってしまい、逆に利益が出にくくなります。お客様を絞り込むことで商品サービスをシンプルにし、労働生産性を向上することが重要です。
安定成長していくために、まずこの3つのイノベーションから見直してみることをおすすめします。
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