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社員が集まり「どうやったらもっと高く売ることができるだろうか?」、社員が集まり「もっと人数を減らせないだろうか?」と本気で議論する会社を、本気でつくるための条件とは!?

SPECIAL

年商10億事業構築コンサルタント

株式会社ワイズサービス・コンサルティング

代表取締役 

指導暦18年、これまでに200社以上の実務コンサルティング実績を持つ経営コンサルタント。「10億円事業構築」に強みを持ち、直近5年では、導入後数年で年商数億が10億越えをした企業は20社以上と驚くべき成果を出している。

食品メーカーF社の応接室は事務所の奥にあります。
4名が打ち合わせをしているテーブルの側を通ります。ワイシャツの袖をまくっている人、白衣を羽織るのは製造担当のようです。
活発な意見交換がされています。

応接室に入ると、F社長から補足がありました。
「あのように、最近では、何かあるとすぐに関係者が集まるようになりました。」

私も、感想を述べます。
「あの丸いテーブルは、いいですね。」

F社長、いよいよ嬉し笑いを堪えられなくなりました。
「矢田先生、あの丸テーブルは以前からありましたよ。」

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生産性を上げる必要があります。
そのためには、「生産性を上げるぞ」という明確な意図と、具体的に何をしていくのか、という策を持つ必要があります。

生産性とは、一人当たりの社員が一年間に稼ぐ粗利高をさします。
生産性 = 総粗利高 ÷ 総人数

正社員、パート、派遣などバラバラで解りにくいのであれば、1時間当たりで測ることもできます。
 生産性 = 総粗利高 ÷ 総時間数(全員の労働時間)・・・1時間当たりの稼ぎ

または、人件費で測ることもできます。
 生産性 = 総粗利高 ÷ 総人件費・・・1万円当たりの稼ぎ

これらの指標により、生産性が高いのか低いのか、そして、どの方向に推移しているのかが、解ります。
経営者としては、「いくら稼ぐために、どれぐらいが適正なのか」という基準と、「良くなっているのか、悪くなっているのか」、「数年前と比べてどうなのか」という変化を把握しておく必要があります。

上記の式から、生産性を上げるために何に取り組めば良いのかも、知ることができます。二つの項目をそのままに、大きく二つの取組みをすることになります。

一つは、「総粗利高を増やす」取組みです。正確に表現すると「同じ人数で、総粗利高を増やす。」となります。
もう一つは、「人数を減らす」取組みです。正確に表現すると「同じ総粗利高のまま、人数を減らす。」となります。
生産性を上げるとは、このどちらかの取組みになります。

前者の「同じ人数で、総粗利高を増やす」という取組みの中心は、事業戦略やマーケティングという『売る』がテーマになります。
総粗利高を増やすため、「値上げ」か「沢山売る(数)」ことを考えます。
「値上げ」、すなわち「高く売る」ためには、ターゲット顧客の見直しや、商品の見せ方の検討が必要となります。また、「沢山売る」ためには、集客方法や既存顧客の囲い込みを考えることになります。

後者の「同じ総粗利高のまま、人数を減らす」という取組みは、業務改善を中心とすることになります。テーマは、『つくる』と言えます。
時間当たりの生産量を増やすにはどうしたらよいのか?サービスのミスや不良品を減らすにはどうしたらよいか?ということになります。

生産性を考える時には、前者と後者を混同して考えてはいけません。
生産性とは、あくまでも付加価値を指します。そのため、前者の「総粗利高を増やす」取組みこそが、生産性を決定づけます。それに対し、後者は「効率性」を指します。あくまでも決まった作業を、いかに労力や時間、費用をかけずに行うかとなります。付加価値すなわち粗利高は、『外』にしかありません。
そして、この『外』に向かうことこそが、組織の活性化の要になります。

この「売る」と「つくる」、両方の取組みにより、その事業から得られる粗利高を最大にすることができます。また、同時に組織を活力のある適正状態に保つことができるようになります。

前者の「売る」ことに力を入れ、後者の「つくる」を蔑ろにすれば、混乱状態を招くことになります。
多くの見積もりの依頼があり契約も取れています。しかし、顧客への対応が漏れる、遅延が発生しています。これでは、お客様の不満足に繋がります。
集客費用や販売の手間を捨てているような状態です。つくるという仕組み作りに向かわないと、モグラたたきが常習化し、社内は混乱が続くようになります。そして、残業が増えます。そして、社員は疲弊し、離職が始まります。益々効率性は落ちていきます。

逆に、後者の「つくる」ことに力は入れているが、前者の「売る」ことを蔑ろにしても大きな問題が発生します。
自社への値段的な欲求が、だんだん厳しくなります。または、忙しい割に儲からないという状態になります。
お客様の変化や飽きるという欲求についていけないのです。また、競合との比較でも負けることが多くなります。
そして、一つの案件の規模やロット数が小さくなっていきます。段取り替えが多くなり、生産効率が悪くなります。その結果、不採算品が多くなります。
梱包材、資材、金型の在庫が増加します。マニュアルや帳票などの種類も多く、複雑化します。

そして、もっと恐ろしいことに、気づいた時には「経営権」がなくなっています。取引先の固定化とその取引先1社の売上げ割合が大きくなります。益々、価格などの条件交渉権も弱くなります。
また、組織体質も悪くなります。顧客や市場の変化に鈍感になり、緊張感がなくなります。社員が平気で、顧客の悪口を言うという現象が起きます。社員はプライドを失い、社内の雰囲気は悪くなります。
当然、生産性は上がらないどころか、下がっていくことになります。

この両方の取組みがあって、初めて高い生産性を得ることができます。
また、組織は、「まとも」という状態を維持できるのです。
「値上げをするためにどうすればよいのか?」、「数を沢山売るためにはどうすればよいのか?」を、真正面から考えることが必要です。
そのうえで、「どうしたら、今より人数を減らせるか」という効率性についてを考えるのです。
具体的な目標としてそれを決め、そのための行動をします。


一般社員が議論をしているテーマを観れば、その会社の「生産性」の具合を予測することができます。また、組織の活性度も予測できます。

下記のような、3つのレベルで、測ることをします。

レベル1.「売る」ことも、「つくる」ことも、テーマとなっていない。
一般社員は、生産性を高めるような議論には参加していません。マーケティングや業務改善などは、社長と一部の優秀な社員で行われます。一般社員の仕事は、日々作業をこなすことです。生産性も活性度も高いはずがありません。

レベル2.「つくる」ことは一般社員のテーマになっている。しかし、「売る」ことはテーマになっていない。
業務改善やマニュアル改定などは、一般社員も関わっています。各部門や各課には改善テーマが与えられています。
売ることに対しては、社長と一部の営業担当のみが知恵を絞っています。その結果、一般社員は、「売る」ことに関して驚くほど無頓着になっています。(製造業や設備業などでは、社長自身も売ることに関心が薄いケースが多くあります。)

だからと言って、「人数を減らす」という視点の議論が真剣にされることもありません。逆に、業務が忙しくなると、「人数を増やしてほしい」という要望が平気であがります。この現象も、「売ること(外)」に向いていないために誘引されるのです。

レベル3.「売る」ことも、「つくる」ことも、一般社員のテーマになっている。
一般社員が、商品やサービスの設計まで参加します。
「ターゲットが間違っているのだろうか」、「展示会の後、どのようにアポイントに繋げるのか」、そして、「値決めはどうあるべきか」まで、一般社員が日々議論します。
そのため、会社全体が「外」に向かい、社内の派閥化や部門間の争いもありません。このレベル3までになると、生産性も組織の活性度も高くなります。

冒頭の食品メーカーF社は、この時には、レベル3になっていました。
この日の丸テーブルでの議論のテーマは、新商品のパッケージについてでした。
店頭に並んだ時の見え方と共に、運搬用の段ボールの入数、そして、製造工程の変更など、多くを検討する必要があります。
その営業担当者は、企画の方向性を得るために、技術開発、製造工程、先輩を招集しました。各分野の専門家に意見を求めました。
「この個数だと、一つ当たりの送料代金が割高になる。」、「何としても、この素材は使いたい。」、「要望の4月はさすがに無理があるが、ゴールデンウィークの前には。発売日の交渉は可能だろうか・・・」
一人は電卓をたたき、数字を示しています。製造担当は、製造ラインの図面に、検討すべき課題を書き込んでいます。

F社長は、明かされました。
「あの丸テーブルは、一年前も、同じ場所にありました。当時は、カタログや書類が山積みになっていました。」

社員が議論に参加するためには、社員が自分たちでテーブルに集まるためには、条件があります。その条件が基盤として有って初めて、その状態になり得るのです。

「売る」ための議論に社員を参加させるためには、事業戦略や事業コンセプトをしっかり理解させておく必要があります。また、どう自社の特色を強化していくのかという方針も必要です。これらが、『文字』で在る必要があります。

「つくる」ことに社員を参加させるためには、現状が認識できるようになっていることが必要です。モノや情報の流れがどうなっているのか、そのサービスや製品の基準はどうなっているのか。マニュアルや業務基準書が必要なのです。

社員を議論に参加させるためには、「見えること」が前提なのです。
誰かの頭の中にある状態や、誰かが基準である状態では、絶対に社員を巻き込むことはできません。巻き込むためのスタートは、「文字」なのです。
「文字」こそが、すべての基盤なのです。
人類が「文字」で共通認識を作り、それを発展させてきたように、我々の会社も「文字」によりそれが可能になるのです。

社員を巻き込めない、社員を主体に議論が進まない会社は、「文字化」が出来ていません。または、本当に必要なものが「文字化」されていません。だから社員の力を使いきれていないのです。

「どうやったら、もっと高く売ることができるだろうか?」
貴社には、値上げについて本気で考えている社員がいますか?
「どうやったら、もっと人数を削れるだろうか?」
貴社には、人を減らすことについて本気で議論できるチームがありますか?

その機会を、与えることが必要です。それにより一年で変えることができます。
F社も一年前は、誰も意見を言わない会社でした。今では、何かあると関係者がサッと集まり、議論する会社になっています。

この一年間で社員が成長したのではありません。それはすでにそこに存在していたのです。しかし、その環境が無かったのです。
条件が整い始めると、それは本来の力を発揮するようになりました。

丸テーブルも、社員もそこに在りました。今の御社にも、すでにそれは在るはずです。

 

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