第91号:生産性を上げるために重要な経営者の意思決定とは
日本経済はますます寡占化が進み、大手の市場争いに巻き込まれて中小企業の経営環境も厳しくなっています。しかし、そんな中でも成長企業は業績を伸ばし続けています。
私は、たくさんの企業経営者からの相談を受ける中、衰退企業と成長企業の経営者には大きな考え方の違いがあることがわかってきました。
それは、成長企業はビジョンを明確にしてビジョンに向かって経営者が意思決定をしていますが、衰退企業はビジョンが曖昧で、目先の売上を確保するために判断をしています。
と、ここまでは誰でも容易に想像できることではないかと思います。衰退している企業の経営者も、目先の売上の追求から脱却しなければいけないと危機感は持っておられます。
問題は、なぜ目先の売上の追求から脱却することができないのか、です。
この問題の本質は、経営者のどんぶり勘定にあります。売上を追求する経営者は売上を上げれば利益が出ると思い込んでしまっているのです。そして、売上を上げようとするあまり、お客様を絞り込むことができず、他社で売れているような商品をどんどん投入し商品を増やしていきます。そうすると、それにともなって固定費や変動費が上がっていくのです。
当たり前ではありますが、経営していく上で大切なことは利益を生み出すことです。
利益とは、売上と固定費、変動費の差です。
寡占化の時代には、戦略のない会社は売上を追求すればするほど固定費がかかってしまいがちです。そして固定費の代表格は人件費です。つまり、売上よりも労働生産性を最大化していくことが重要なのです。
一人当たりの粗利益高を高めることで企業は成長発展をします。売上がいくら上がっても一人当たりの労働生産性が下がっていれば、会社はいつまでたっても目先の売上を追いかけなければなりません。目先の売上の追求から脱却するためには、売上目標だけではなく、戦略的に利益計画を立てる必要があります。利益計画を立て、固定費、変動費を予算化するのです。
最もコントロールしにくいのが売上です。その売上を追求するよりも、まずは自分たちが使うお金をコントロールすることで利益は生み出しやすくなります。
そして、生産性を上げていくためには「お客様」「商品」「サービス」を絞り込んでいくのです。
経営者が明確な戦略を持って意思決定をすることが、寡占化の時代にはとても重要なことなのです。
そのために、どんぶり勘定から脱却して数字で語れる経営者にならなければいけません。
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