商売を繁盛させる「突破力」の出し方
東京郊外で和菓子屋を経営しているが、街からシニアが都心回帰していることやコンビニスイーツ人気を背景に、経営不振で悩んでいる。というご相談を受けました。
事業を成功させてくためには、5つのバランスが必要不可欠です。「販売」「労務」「財務」「資金」「税金」というバランスの中で、最も大事なのが「利益の取れる売上を上げ続ける」こと。つまり自社の商品サービスをしっかりと「売る」ことが大事です。
経営者の「気持ち」が弱くなっている時、視野狭窄に陥っていることが多いものです。悩みや問題、赤字、不振について毎日毎日対峙し、無意識に考えてしまう、考え込んでしまう…。このような時は、視野が狭くなっているゆえ、5つのバランスの細部に目が散ってしまうものです。が、いったん「具体的な答え」を求めるのをやめて、ご自身の「夢」や「志」といった抽象的な世界へと、ご自身の思考を上げていくことが非常に大切です。
お客様が他店に逃げてゆく、ということ。この問題を解くヒントのひとつで、もっともシンプルな質問は、自社の菓子がお客様にとって「おいしいかどうか」です。
こうした時「今の時代、美味しくないものを売っているわけないでしょ。どの店もみんな美味しいし、うちだってちゃんと提供している」という話が出てきます。しかし、時代にあわせて「五感」で感じる価値基準は変化変容します。お客様の「美味しいねー」は変化しています。ここを受容することができれば、次にやることは明確です。自社と他社の商品研究を徹底的にやっていくことです。
弊社の商品リニューアルコンサルティングに取り組む経営者の方は実感を持って「こんなにシンプルなことに、今までどうして気づかなかったのだろう」と仰ります。〇〇マーケティング、〇〇ブランディング、5つのバランスのそれぞれを切り口にしたコンサルティングに散々お金をかけてきた。だけど、継続しない、うまくいかない。コンサルタント先生に対して嫌悪感を持っている、と。このような場合、経営者ご自身が襟を正し、コンサルタント自身の思考回路をしっかりと見極める眼を持たなければなりません。
わたくしの商品リニューアルコンサルティングは、売れない主力商品を「売れる商品」に変えていく仕組みを提供することです。商品力、販売力に光をあて、魅力を再発見していくことに他なりません。いわばクリエイティブな領域であり「アイディアの創造」が要請されます。
しかし、不振にあえいでいる場合、多くの経営者は
「マーケティングをちゃんとやってこなかったから」
「ブランディングをしてこなかったから」
「マネンジメントが、資金調達のノウハウが…」という話になります。
このような状況にあって、経営者が潜在的に求めるのは「知識」です。知識を手に入れて、今すぐ目の前の問題を解決したい、と。つきはなして考えれば、それは「不安」だからです。知識を手に入れて、少しでも「ラク」な状況になりたい。そんな風に無意識が求めているのではないでしょうか。
戦後、知識偏重の学校教育を受けてきた経緯を考えれば、自然なことです。知識には、必ずひとつの「答え」が用意されていて、そのことを本能的に知っているのです。そして、知識を手に入れた先に待ち受けているのが「モノマネ」です。「学ぶ」という言葉は「真似ぶ」を語源にしています。知識を得れば、どうしても真似したくなって、残念な言葉ではありますが「パクリ」が生まれます。無意識レベルで「真似してラクして儲けたい」と思うのが人の弱さなのかもしれません。
一方、知識を得ることができなければ、自分の頭で必死に考えるしかありません。知識のない思考世界は「真っ白」です。そこには「答え」は用意されていません。道もたくさんあります。
知識と答えという「具体的な世界」から、真っ白い「抽象的な世界」に向かって、己の思考が上昇していくので、当然、迷い、悩みます。具体性がないから強く不安になります。ですが、辛くても、この“自分の頭で考える”プロセスなくして絶対に「オリジナル」は生まれません。社長が日頃から欲しがっている「他社を圧倒する差異、力」とか「独自性の創造」など手に入れることはできないのです。
独自性が欲しいのか。
それともモノマネのまま進むのか。
商品リニューアルはモノマネではなく、独創です。世界観の「再定義」や「再発見」により事業を次のステージにあげていくための土台は、経営者はじめチームの一人一人が「モノマネ思考」との決別にあります。自分の頭で考えるという強く激しい「決意」こそが基盤となります。
本気で商品サービスを売れるようにしたい。そう強く望むのであれば絶対にラクを求めてはいけないのです。頭の中に知識を入れ込むのではなくて、真逆です。頭の中を真っ白にすることです。怖くて不安でも安易に知識を希求してはならないのです。知識提供を推進する「先生」を選んではいけないのです。経営者自身が、独創の高みへと心を清めてゆくような覚悟が必要です。
勇気をもって「自由」な思考フィールドへ飛び出してください。「知識」の洗脳から脱し、知識に救いを求めないと決めてください。モノマネは真似たもの以上になることはないのですから。
知識を捨てることで、はじめて独創に近づきます。本気で「迷い、悩み、自分の頭で考える」世界へ、真の強さをもう一度手に入れましょう。戦わずして勝つために、圧倒する独自商品で勝つために、社長の勇気を見せてください。
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