「人」に関する経営課題を解決する「ホスピタリティカンパニー」のつくり方
昨今の企業における「人」による経営課題は重要度を増すばかりです。
先日も、あるホテルの総支配人と話しをしていたところ、清掃スタッフが募集しても集まらず、部屋は空いていて需要はあるが、泣く泣く売り止めをしているという話しを聞きました。
また別のホテルでは、客室清掃は外部委託しているが、先方から人件費高騰による委託費のほぼ倍に近い値上げを迫られているという話しも聞きました。
一方で、先日もあるドラッグストアでは、レジの人員削減の為、買い物客がカゴを乗せるだけで、ICタグで金額を読み取り、無人で精算できるシステムを全店で導入するといった報道もあり、「人」でなくてもできる業務をAI等に移行する動きも活発化しています。
しかし、労働集約型であるサービス業においては、AI化も限界があり、最終的には人のサービスによる付加価値の提供はこれからの時代を生き残る重要なファクターであることは間違いなく、成熟化社会でコモディティ化する中で「人」による差別化は、より求められます。
このような時代に、企業は従業員に対して何をすべきなのででしょうか?
私が支援先にこれらの解決策としてお伝えしているのは、
「従業員が、ここで働いて良かった!」と言ってもらえるような、「ホスピタリティカンパニー」を作る。
ということです。
未だに待遇面での条件だけを提示して求人をしている企業を多く見かけますが、これでは競合他社が自社より好条件を出せば、更に好条件を出さざるを得ないといった際限なき人件費高騰に成り兼ねません。
大切なのは、「雇用する側」と「働く側」が、しっかりと目的を共有することであり、その目的とは、
「何の為にこの事業を行っているのか?」
「この仕事の意味、意義とは何なのか?」
「これから自社はどこに向かおうとしているのか?」
企業の目的やあり方をしっかり従業員と共有し、方向性、ベクトルをしっかり合わせることです。
それらのメッセージを経営者が常に従業員に伝えられているか、それが明文化されている経営理念やミッションといった自社の価値観を従業員のロイヤリティに効果的に活用しているかが重要です。
しかし、私が見てきた多くの企業では活用されずに読み合せるに留まっています。
むしろ、目先の売上向上や経費削減といった手段の話しばかりをしていて、目的の話しは普段の仕事の中に一切出てきません。
それが、結局従業員の「やりがい」や「やる気」を奪い、退職に繋がる原因にもなっています。
少なくとも、私が支援している企業は経営理念やミッションについて考える時間を定期的に確保し、皆で考えたり、それに対する具体的な目標やアクションプランを各スタッフで作り、絵に描いた餅にならないようにしています。
普段は厳しい競合環境の中に身を置くスタッフも、この企業の目的やあり方を考える時間は、有意義だと感じており、同じ企業で働く仲間との価値観の共有や議論はロイヤリティ向上にも大きく役立っています。
ある企業では、この取り組みを始めてから離職率が下がったという効果も明確に出ています。
ホスピタリティは自分ではなく、相手を主体的に考える心であり、ひと言でいうと「他者貢献による喜び」を意味します。
「自分がお客様の喜びや幸せに貢献していること」
「組織に貢献していること」
「この企業で働くことにより社会に貢献していること」
を実感することが「この会社で働けて良かった!」ということに繋がり、ロイヤリティにも繋がります。
それは、まぎれもなく給料ではない「非金銭的報酬」であり、これから採用、定着率、生産性を向上させる上で大きな役割を担います。
これらの目的をしっかり見据えた経営をしている企業を「ホスピタリティカンパニー」といい、これからの時代を勝ち残る企業の条件と言えます。
あなたの社内では「目的」をしっかり共有できていますか
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