社長が知っておくべき 改革スタート時の抵抗勢力への対処法
先日のお打合せでのことです。その企業では、ある画期的な制度を導入することが決まっています。ところが導入する前から、社内には「上手くいくのだろうか」「失敗するに決まっている」「そもそも、導入する必要があるのかどうかわからない」などの声が渦巻いているとのこと。
働き方改革、ダイバーシティ、グローバル化などの大きな変化のうねり中で組織は存続しなければなりません。優れた組織というのは、そのような変化の中で優れた業績をあげられる組織、優れたサービスを提供できる組織です。つまり、これらの変化に対して柔軟に対応し、適応していくことが求められているのです。
このような時代背景の中で、危機感をもっている社長はいるものの、社員は社長と同じような危機感を持ち合わせていません。そのため、組織に何らかの「変化」が生じた場合、その変化に対して必ずや抵抗を感じるものなのです。そもそも人間は安定を好み、変化をストレスと感じるため、頭では「必要だ」とわかっていても、気持ちの上で抵抗し、真っ先に不平や不満が噴出してしまうのです。それは将来が見通せないという不安でもあります。
社長を含め経営陣はそのことを理解しておく必要があります。どんなに良い制度であっても、それが革新的であればあるほど抵抗は大きくなります。組織全体に影響するような大きな「変化」であればなおのことです。
その時、社員からの「抵抗」、つまり不平、不満、不安の声を決して封じ込めてはなりません。逆に、それらを出し切ってもらう必要があるのです。特に、上手くいくかどうかわからないという「不安」の正体は、実はとても漠然としてものでもあります。
「不安」の正体がわかれば、それに対する「対策」を考えることも可能なのですが、不安を不安として放っておくと、それがますます大きくなり、まわりにも影響を与えてしまうのです。気が付くと、大きな抵抗勢力に育ってしまうのです。
ここで、社長がリーダーシップを発揮して、「不平や不満ばかりを言っていないで、まずは実行しろ」という態度を取ってしまうと、社員の不満は、新しい制度に対するものであったはずが、社長に対するものに変わっていきます。
社長と社員の間に多きな隔たりが生じてしまい、本来ならば、新しい制度の導入にかけるべき時間や労力が全て、この対立を収めるために奪われかねません。
そして、制度導入を実質担当する部署や担当者は、その対立の間に挟まれ、対応に追われて疲弊していきます。
大切なことは、社員からの不平、不満、不安の声に耳を傾けることです。というのも、これらの声が上がるというのは、情報が不足していることが多々あるからです。つまり、必要なことがきちんと伝わっていないということです。
そのため、これらの声を聞くということは、何が伝わっていないかを把握することができるということなのです。どんな情報が足りていないのかを理解することができる貴重な声なのです。
これは何も新しい制度導入の時だけではありません。新事業、新商品、または人事など、何らなかの新しい「変化」の前には、必ずそれに抵抗する力が生れるものだと心得ておくことが必要なのです。
組織改革に成功するには、抵抗する声に対してオープンであり、謙虚であり、その声から次の「打ち手」を見つけられる社長の存在が欠かせないのです。
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