感情価値を意識して、人を上手に巻き込む
マーケティングで必ず出てくる言葉に、機能価値、感情価値があります。
商品を説明する時に、「このパソコンの処理速度は従来の2倍です!」というように、商品の性能や特徴を表現するのが機能価値です。一方で、「このパソコンを使うと、仕事がとってもラクになります」というように、使う人の気持ちや心の中の動きに寄り添うのが感情価値です。そして、商品を買ってもらうには、機能価値だけでなく、感情価値をいかに伝えられるかがポイントと言われています。
ところで、この機能価値と感情価値ですが、マーケティングだけでなく、マネジメントでも欠かせない要素だということに最近気がつきました。
例えば、製造部長という役職。
社長が製造部長に期待するのは、今期の目標である売上30億円を問題なく達成できるよう、工場の生産体制を整える、仕入先を見直して、売上原価を5%カットする、在庫管理を徹底して、商品の在庫を1割削減する、新商品の開発に向けてネタを10個見つけてくる、製造部としての数値目標だけでなく、部員が各目標を達成できるよう指導する、といったような項目があります。
これらは、いわば、製造部長としての機能価値です。ある程度の会社になると、製造部長の職務分掌と評価基準をしっかり定めて、機能価値を社内で浸透させています。
一方で、会社経営を担う社長からすれば、製造部長に任せている繁忙期の商品の製造が順調に進んでいるのか、その進捗状況が気になります。
また、製造部に所属する社員からすれば、製造部長に対して、「あの商品はどうなっている?」とトレースするだけでなく、「なぜ、ミスが起きるのか」、「どこで躓いているのか」について分かってほしいという思いがあります。
そして、新しい商品の製造を始めるにあたっては、経理部長からすると、どのくらいの初期費用がかかって、損益分岐点はいくらで、投資回収期間は何年になるのかはぜひ知りたいところです。
ここで、製造部長が自分の機能価値を果たすことに留まって、社長の心配、部下の不安や、経理部長の懸念に寄り添わないと、社内でギクシャクした雰囲気が生まれます。つまり、製造部長には、社長から質問される前に、数字を報告して社長を安心させる、部下の顔色を見ながら、悩んでいることを上手く引き出す、経理部長に事前に設備投資計画の打合せして、資金繰りをすり合わせするといった配慮が求められます。
これらは製造部長に直接課せられている仕事ではありません。けれども、相手(社長、部下、経理部長)の気持ちに寄り添えば、ある意味当然求められることです。そういう意味では、感情価値と言えます。
商品であれ、役職であれ、機能価値というのは比較的定義しやすいです。しかしながら、感情価値については、相手の立場に立って、どういう気持ちになっているのかを想像する必要があります。
このため、相手のことに思いを寄せる余裕がないとできませんし、どこまでやれば正解で、どこからが不足という境目があいまいです。そして、ハッキリ定義するのが難しいがゆえに、感情価値を上手く発揮できれば、商品なら売れるし、役職であれば、人を巻き込むことができます。
機能価値と感情価値。
特にマネジメントに関しては、必ず人が絡んでくるので、感情価値は益々これから深めるべきポイントです。ぜひ、社員にも意識させて、会社を活性化しましょう。
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