人への投資はローリスクハイリターン
人財育成で外せないのが、スタッフ教育に対してどれくらい投資を行うのか、というおカネの問題です。自社スタッフのレベルアップ、それに伴う店舗、会社のレベルアップを図り、業績の向上を実現するためには、スタッフへの教育投資を「なにもしない」ということはありえません。だからといって際限なく投資できるわけもなく、その配分は会社の未来を決める重要な意思決定だと言えます。
店舗スタッフが自発的に学習し、自費で研修や専門学校などの教育を受けるくらい積極的な姿勢があればよいのですが、残念ながらそういうスタッフはほとんどいません。これは私の経験上断言できます。
ですから、会社側がおカネと機会を提供し、半強制的にスタッフ教育を施しているパターンが大半でしょう。これは店舗ビジネスに限らず言えることです。それでも何もしないよりはマシな結果が見込めますので、半強制的でもやることに意味はあると思います。
ここで議論を深めるために、会社が実際のスタッフ教育に対してどれくらいの金額を使っているのかを見てみます。産労総合研究所の「2017年度教育研修費用の実態調査」によれば、社員一人当たりの教育研修費は平均で3万7177円となっています。この金額はあくまで平均ですから、基準というよりもとっかかりとして見ていくほうがいいでしょう。
さて、自社はどうでしょうか。金額の多寡を見るのではなく、まずは自社がどれくらいの教育投資をしているかを知り、その投資が自社にとってどのような意味を持つのか、その効果はどうなのかを把握することが先決です。
スタッフ教育への投資はその効果が見えにくく、積極的に行う経営者が少ない印象があります。確かに、研修に行かせても最初の1週間はなんだかやる気になっている様子ですが、次第にいつも通りの仕事ぶりに戻ってしまうことがほとんどです。しかしそういうスタッフばかりでもなく、その研修をきっかけに急激な成長を遂げるスタッフも存在します。
人への投資は、私に言わせればローリスクハイリターンの典型例です。経営者の皆さんは、そこをケチることなく、無駄とは思わず、継続してやっていただきたいと思っています。出来高給与や報奨金などのインセンティブも大事ですが、それとは別にスタッフ教育としての投資をおこなうことも経営者にとって重要な仕事です。
要は「事前に払うか」と「事後に払うか」のバランスです。
また、スタッフがやりたいと言っていることに対して、そのチャンスを与えるのも一つの手です。こちらから無理やりやらせるのではなく、自ら申し出るような場合は、率先して投資しなければ、成長の機会を逃します。たとえば、マーケティングやセールス、財務、接遇や秘書業務、語学やIT技術などその範囲は多岐にわたります。自分からやりたいと言い出す人の成長は恐るべきスピードです。経営者としては、そのタイミングを活用しない手はないのです。
「利益の何%を教育投資に使う」といったことを杓子定規に決めても何の意味もありません。単なる自己満足です。そうではなく、自社の一人一人の特性を理解し、そこに見合った投資を行うことが唯一の道となります。
経営者の皆さん、人への投資をしていますか?
スタッフ一人一人の特性を把握していますか?
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