第88号:一流の経営者は利益を追求する。二流の経営者は売上を追求する。
多様化した現代において絞り込みをしていくことは、ますます重要になってきております。しかしながら絞り込みをするというのはそれほど簡単なことではなく、絞り込みに成功する経営者は少ないのが現実です。
ある飲食チェーン店さんからもこんな相談がありました。
「一度、ペルソナ(最重要顧客)をつくってみたのですが、実際に営業してみるといろいろなお客様が来るので、ペルソナを設定してみたことがよかったのかどうか迷います」
ペルソナ(最重要顧客)を設定することで他のお客様を失ってしまうのではないか心配になり、ついつい対象者を広げてしまいたくなる経営者は多いです。そこにおいて、経営者の意識の差が絞り込みに成功するか失敗するかを決めるのです。
「利益を追求する」ことの意味を理解できていない経営者は、売上中心に物事を考えてしまいます。少しでも売上を伸ばしたいという気持ちから、すべてのお客様に満足していただきたいというように考えてしまいがちです。しかしその考えはメニューを多彩にし、サービスを複雑にしていくのです。
そこで起きる問題が2つあります。
1つ目が人件費の高騰です。
商品数が多く、なおかつサービスも複雑になれば、その分、人もたくさん必要になります。また、アルバイトさんなどの人の戦力化にも時間がかかってしまいます。
固定費の中で最も大きな費用を占めるものは人件費です。その人件費が増大してしまうことは収益の圧迫につながります。
2つ目が顧客不満足からの失客です。
すべてのお客様を満足させたいという気持ちがあっても、実際に忙しい日に複雑化したメニューやサービスでお客様を満足させることができるでしょうか。暇なときには回っているが、忙しいときには商品の提供が遅くなり顧客の不満足を起こしがちというのでは、気づいていないだけで失客につながっていませんか。大切なことはリピーターを作ることです。リピーターの存在こそがお店の利益に大きく貢献してくれます。
人件費はほっておけば5%ぐらい、あっという間に高くなっています。5%は年商1億円のお店であれば500万円の無駄遣いになってしまうんです。人件費を適正な費用に抑えるだけでお店の利益は上がってきます。
絞り込みは、固定費に占める最も大きな割合である人件費の効率を上げることが最大の目的なのです。絞込みがうまくいかないという方は、ぜひ人件費率の適正を考えてみてください。
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