賞与引当金を設定してはいけない理由
しばしば毎月の損益計算書に賞与引当金を計上する会社があります。経営者は、「賞与を出したい」という気持ちをその賞与引当金に込めて毎月損益計算書に計上しているのでしょう。
たとえば、賞与引当金を毎月200万円定額で計上している会社があったとします。この会社の経営者は、賞与を200万円×6か月、1,200万円支給したいと考えていることは明確です。
その経営者の強い気持ちを私は感じ取ることができます。
しかし、社員は別なことを考えています。賞与は業績に関係なく支給されるもの。そしてそれは当然であり、それは社員の権利であるということです。
この賞与引当金は、「業績が良かった場合に、1,200万円出したい」という経営者の気持ちの表れであったとしても、実際に1,200万円支給するかどうかは、半年間経ってみないと分かりません。それは半年後の業績によって金額が変更になるからです。
仮に業績が厳しくて1,200万円の原資がないときには、この会社は賞与を全額支給することはありません。社員はその賞与の金額が減ったことを知って、なんと思うでしょうか。
「あの支給されなかった差額の賞与引当金はどこに消えてしまったのだろうか。 社長が自分の懐に入れたのだろうか?」
「そんな馬鹿な!」と経営者は思ったとしても、実際にその会計処理を見ていない社員はそう思わざるを得ないのです。
賞与引当金を計上する。その思いは正しいとしても、その計上の仕方に問題があります。このように毎月定額で計上するようなやり方は、絶対にやめなければなりません。
正しくは、毎月の業績に合わせてこの賞与原資が変動することを社員に知らしめることです。
多くの会社の経営者が、「社員は業績に関心を持たない」と言います。それは業績に基づいて賞与原資が変動することを示していないからです。経営者は業績に基づいて賞与原資を変動させているのに、社員はそのことに気がつかないのです。
これを毎月の業績に合わせて賞与原資を示す方式を取った会社は、すべての会社で社員が業績に関心を持つようになります。当然のことです。
そしてこの賞与原資はすべての社員の原資であり、特定の社員の原資ではありません。
つまり、業績が良くて原資が増えるとすべての社員が喜びます。原資が減ると、すべての社員が危機感を持つことになります。
この原資の計算の仕方は、毎月の業績によって変動することを社員に示すことが必要でしょう。
今、賞与引当金という毎月定額の表示の仕方をしている会社は、今すぐこのやり方を見直してもらいたいと思います。
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