社長がやらないで誰がやる!?―『差別化』への一番の近道「情報発信」―
先日、ある経営者とお話していたときのことです。
その社長は、「情報発信」の重要性は理解しているものの、実際の行動は、私から見ればまだまだ手をこまねいているようでした。
「見た目」が非常に重要なこの会社の商材は、SNSなどによる「情報発信」が極めて効果的である、と私も社長も以前から思っていたのです。
「何故、(情報発信を)ガンガン行動に移さないのですか?」
と尋ねる私に対して
「やろうと思って、途中までやりかけるのですが、そんなこと同業者の誰もやっていないので、こんなことやっていていいのか?と、つい不安に思ってしまって・・・」
・・・私は絶句します。
が、気を取り直して言いました。
私 :「誰もやっていないからやるんじゃないですか。みんながやっているのと同じ ことをやっても意味がないでしょう?」
社長:「はあ・・それでいいのでしょうか。」
私 :「いいも何も・・・だって、他の経営者はやっていないのでしょう?」
社長:「はい。やっている人はいません。」
私: 「だったら、どんどん「情報発信」やるだけで商売の『差別化』になるじゃないですか。」
社長:「え、そうですか?それだけで『差別化』になりますか?そんなもんですか?」
今まで散々そのことは言ってきたつもりでしたが、まだ本当の、本質的なところではピンと来ていなかったのです。
私も、その社長の事業に対する目の付け所は悪くないし、一生懸命働いてもいるようなのに、何故業績が上がらないのか不思議だったのです。
この日、改めて話してみてその原因がわかりました。自分の思っている路線に対して中途半端だったのです。
社長が考えていたのは、それまでの業界内のやり方とは少し違った路線でした。当然、それまであまり他者がやったことがない方法なので、少し強めのインフォメーションを流さなければ世間の人は知る由もありません。
そのことはわかっていましたから、SNSなどを通じていろいろと「情報発信」するようにとお勧めしていました。
ところが、肝心の情報伝達のところで、どういうわけか彼は、業界内の方を向いてしまったのです。
思いついた新しい発想はよかったのに、そのインフォメーションについてはこれまでのやり方にこだわった、という何とも中途半端な状態に自分を置いてしまったために、やっていることがチグハグで結果に繋がらないでいたのでした。
彼は『差別化』が必要なことはわかっていました。彼に限らず、その業界全体の状況が思わしくなかったからです。
これまでの、業界的なやり方では埒が明かない、と気付いたので、新しい発想でビジネスを立て直そうとしていたのでした。
ところが、その新しい発想を伝える方法についても新しい発想で臨まなくてはならない、というところにまで思いが至らなかったのです。
私に言わせれば、新しいビジネスを発想することと、そのインフォメーションに関して新しいやり方をセッティングすることはワンパックです。
ニュービジネスは、着想の段階からから、そのインフォメーションまでが、きれいにパッケージ化されていなければ意味がありません。
何故ならば、そうしなければうまくマーケットに伝わらないために、最終的にビジネスとしての体を成さないからです。
とりわけ、「情報発信」に関する意識や取り組みが弱い業界や地域においては、「情報発信」そのものがいきなり『差別化』になります。
これを「当たり前」と思っている人には、大したことには感じないのですが、慣れていない人にとってはかなり億劫なことに思えるからです。
尚且つ、どうやら多くの経営者が継続的で有効な「情報発信」を「億劫」と感じているようなので、ここで少し頑張れば自然に『差別化』となるのです。
そのことに気付いていなかった冒頭の経営者には、とにかくグダグダと悩まないで「情報発信」を続けること、下手に業界の方など振りむかないこと、などを約束してもらって別れました。
「情報発信」の効果が実を結ぶまでには、少し時間がかかります。結果はすぐにはでないかも知れませんが、迷わずに進んで行ってもらいたいものです。
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