店舗スタッフの将来を考えていますか?
店舗ビジネスで人財育成の成果を出すためには、経営者や上司がスタッフに対して時間的支援をすることが欠かせません。時間的支援とは、スタッフ本人が仕事としてやりたい、またできるようになりたいと思っていることを引き出す、そして実践する時間を作り与えることです。
これは勤務時間を使うことでも可能ですが、それ以外でもシフトの調整や営業時間外での支援も可能です。
自分がやりたい、できるようになりたいと思うことに対して、自由に使える時間があることで今以上の能力を身につけることも出来、またそれがモチベーションアップにもつながります。
店舗ビジネスは時期や時間による繁閑が必ず発生します。要は何もしていない時間(アイドルタイム)が毎日少なからずあるということです。いつでも平均的にお客様が来店し、常に同じ状態の店はほとんどないと思います。
店舗ビジネスの生産性の低さはここに大きな要因があります。こういった時間をいかに活用するか、ということも経営者にとって喫緊の課題でしょう。それがアルバイトであれば、そのシフトを細かく調整することでムダな人件費を使わないということも一つの解決策です。
アルバイトは基本的に定型化した業務をおこなっており、細切れの時間でも調整可能です。というよりもそのためにアルバイトを雇っている店が大半でしょう。
しかし正社員ともなるとなかなかそうはいかず、経営者としては最大限シフトに入ってもらい、その人件費分は稼いでもらわないと困る、というのが正直なところではないでしょうか。アイドルタイムもピークタイムも関係なく店の運営に全力を尽くせ、と。
そうなると正社員としては何も言えず、現場の仕事だけで疲弊してしまいます。昨今の人手不足もそれをさらに後押しし、少ない人員で回している店舗は過酷な状況に陥っているところも多いと思います。
「店舗現場の仕事を回すだけで精いっぱい」という状況はかなり危険です。現場スタッフが将来を考えることができる時間と体力を奪ってしまうからです。これは自分がやりたい、できるようになりたいと思うことが見えなくなっている状況です。目標を見失い、ゾンビのごとく働いている状態と言ってもいいでしょう。ですから、特に正社員には時間的な支援が必要です。これは経営者が意図的に時間をつくってあげることがまずはスタートとなります。
最近では「働き方改革」なる言葉もあります。要は人が足りないから、みんなで協力して生産性を上げましょう、ということですね。長時間労働の改善から始まり、非正規と正社員の格差是正、高齢者の就労促進がその柱となっています。
この考え方には賛成です。しかし政府から言われたから、はいわかりました、と簡単に解決できるものではありません。ブラック企業などは論外であり、即刻改善すべきです。しかし日本の数多ある中小企業の方々はすでに努力を重ねているはずです。ここからさらに乾いたぞうきんを絞るかのごとくその施策を行うことは、なかなか厳しいのではないでしょうか。
その厳しい中でも、私がまず店舗経営者の皆さんにしていただきたいことは、スタッフがゆっくりと将来について考える時間をつくるということです。少ない休みの中で考えることは困難ではあります。また自分一人で考えても視野が狭い状況なので、経営者をはじめ様々な方のアドバイスが必要となるでしょう。手間暇がかかり、面倒くさいことも多分にあるかもしれません。それでも考えることを避けてはダメなのです。
一度はっきりとした目標ができれば、日常の仕事に忙殺されることなく、ブレずに頑張ることができます。だからといって長時間労働を推奨するものではありませんが、自分の明確な目標がある人は、働くなと言われても寝食を忘れて仕事に励みます。その活力を作り出すことが時間的支援の効果でもあり、本当の働き方改革であると私は考えます。
皆さんの店のスタッフは生き生きと働いていますか?
将来の夢や目標がはっきりと見えていますか?
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