社長が知っておくべき 目に見えない悪しき企業風土の恐ろしさ
当社のコンサルティングではまず初めに、クライエント企業様の組織診断を行います。その時、かならず社長に伺うのは「御社には、どんな企業風土がありますか。どんな特徴があるとお考えでしょうか。」ということです。
ところが、多くの方がここで返事に困ってしまわれます。自社の製品やサービスについては、その強みや特徴を十分に理解し、スラスラと言葉に出て熱弁をふるわれる方であっても、自社組織の特徴については、ほどんと言葉になりません。そこで当社が質問形式で伺いながら、探っていくことになります。
実は言語として落とし込むだけではありません。例えば、色に例えるとどうなのか、動物ではどうなのか、どんな形をしていると感じるかなど、普段、経営に置いてはあまり使ったことの少ない「脳力」を使っていただくのです。
そのようなやりとりで、社長が自社組織をどのように捉えているのかことをあぶり出していきます。ですが、これは表面的な診断でもあります。というのは、社長が認識している、顕在化している現実の中で語られることだからです。
一方で、顕在化されていない風土や価値観もあります。それは代々受け継がれてきたものであったり、あえて言語化はされていないものの、社内に「うちの会社ってこうだよね。」と暗黙の了解として社員に共有されているものだったり、部外者からは「あの会社は○○だよね」とすぐに理解されることであっても、その内部にいる人間には、あまりにも当たり前すぎてわからなくなっているという組織の特徴があったりします。
例えば女性活躍推進と言ったところで、全てが男性優位で動いているという組織もあります。それはその組織の中で働いている社員の言動からにじみ出るものであったりします。そのため、いくら「女性にもっと活躍してもらいたいと考えている」と言葉を発し、実際に「子育てや介護支援の制度を導入する」などの何らかの施策を実行している企業であっても、潜在的に「男性優位」という価値観が残っている場合、特に女性にはあっという間に見抜かれてしまいます。
結果、女性社員が定着しない、そもそも女性が入社してこないなどの事態を引き起こし、「制度を作ってみたものの、あまり活用されない」ことになり、職場には浸透せず、ますます「やはり男性優位だよね」という潜在化された価値観を強化することになってしまうのです。
このような目に見えない「企業風土」は、社長含め社員にとってはすでに当たり前になってしまっているため、その価値観に支配されていることも意識できないまま、この価値観だけがどんどんと肥大化していく可能性も秘めているのです。
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社長自身でさえ、組織診断のインタビューにおいて意識化されていないほど、当たり前であり、日々の言動の基本原則のようになっているのだとしたら、この「価値観」が一方的であったり、時代の変化に合わなかったりと悪しきものであればあるほど、しだいに企業全体を蝕んでいきます。
そしていざ、「働き方改革」「働きがいのある職場づくり」が叫ばれている今、実際に改革を断行しようとすると、その反対勢力にもなり得るのが、このような潜在化された「企業風土」であり、それにどっぷり染まっている社員だったりします。
もし、御社の中に悪しき「企業風土」が根強くあり、広く社員に共有されてしまっているとしたら、まずは、そのような価値観がはびこっていることに真正面から向き合う必要があるのです。まずは、その存在を認識することから職場改革が始まるのです。
さて、御社には目に見えない悪しき企業風土が根付いていませんか。
会社の中で当たり前になりすぎて意識化されない「価値観」に気づいていますか。
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