第86号:価格設定こそが生命線、販売価格の決定は誰がするべきか
ある住宅会社の経営者さんからの相談です。
「最近は価格競争がますます激しくなり、値引きをしないと売れない状態になってきました。単価が下がってきている以上、もっと販売件数を増やさなければなりませんが、何か良い方法は無いでしょうか」という相談でした。
どの業界も成熟し価格競争は益々、激しくなっています。それに対して9割以上の企業さんが、1件あたりの利益が減っている分を、価格を下げてでも件数を増やすことで補おうとしています。しかし、この安易な値下げ、価格設定が企業体質を弱体化させ、自らを苦しめる負のスパイラルの入口となるのです。
個人に売上目標が設定されている会社の場合、営業マンは自分の売上目標達成のために、値引きしてでもお客様に買って頂きたいという気持ちになります。しかし、たとえば粗利益が25%の商品に対して5%の値引きをすれば、利益の20%を値引きしたことになります。利益の20%を値引きするということは、当初の利益を確保するために売上目標を20%上乗せしなければならなくなります。なかなか売れない時代に、さらに販売件数を増やさなければ目標達成ができない状況をつくってしまうのです。
そして、さらに問題なのは、たとえその販売件数をクリアしたとしても、対応能力以上の件数を獲得したことによって、その後の施工の段階で現場が回らなくなり、結果、お客様のクレームにつながりやすくなることです。それは現場のチームワークを乱すきっかけとなり、更なる問題を生み出す原因となります。
今や商品自体の価値は、どの会社も横並びになってきています。ですから、サービスの違いこそがお客様にとっての価値になるのです。
ところが、安売りに走ってしまうと現場の業務が多忙になり、サービスの品質を低下させてしまうことにつながりがちです。サービスの品質が低下し、顧客満足の低下を起こしてしまうことは大きな問題です。
多くの会社が価格競争に巻き込まれている一方で、売れている会社はどんどん業績を伸ばしています。業績を伸ばしている会社は、お客様からの評判が良く、口コミや紹介が増えているのです。今は情報社会です。SNS等で、良い評判も悪い評判も、簡単に拡散する時代なのです。
サービスの品質こそが差別化になる時代、サービスの品質向上をしてお客様満足を追求することが会社の安定成長につながります。そして、価格設定は企業の重要な生命線です。あなたの会社はどのようにして価格を決定していますか?
自社のミッションを明確に持ち、価値思考で価格決定するのは社長の責任なのです。
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