お金の正しい判断基準のない社長の末路
会社にお金が残らない、会社のお金のことがよくわからない、財務が弱いと嘆く社長に共通する考え方として、「売上が増えれば、潰れない会社になる」があります。ほんとうに大事な考え方なので、あえて申し上げますと、「売上が増えれば、潰れない会社になる」という考え方は、間違いです。
会社が潰れるのは、売上が減った時ではありません。赤字決算になった時でもありません。会社が本当に潰れるのは、お金がなくなった時です。
つまり、「売上が増えれば、潰れない会社になる」のではないのです。あくまでも、「売上をつくる能力」とは全く異なる「お金を残す能力」、つまり「財務」こそが、事業永続のためのキーポイントなのです。
大企業であれば、あらゆる経営資源が潤沢にあるため、会社のお金のことをみる人、つまり、財務担当役員(CFO)を雇い入れて、その人にお金のことを任せるという選択ができます。
ところが、経営資源が乏しい中小企業、特に同族会社の多くは、財務機能が存在しません。したがって、財務を知らない社長は、「会社のお金の流れがわからない…」「なぜかお金が残らない…」「税金は税理士にいわれるがまま…」「借金は銀行にいわれるがまま…」の状態から、いつまで経っても抜け出すことができないのです。
その結果、多くの社長が「お金に対する正しい判断基準」を持たないまま、知らず知らずのうちに「時間」と「お金」を垂れ流し続けています。会社の事業規模にもよりますが、私がこれまでご支援してきた会社の多くが数千万円、ひどい場合は、億単位でお金を垂れ流し続けていたり、あるいは、眠らせていたりするのです。
つまり、社長自らが「お金に対する正しい判断基準」を知れば、失敗する確率を劇的に減らし、結果的に「儲かって、潰れない」「利益を出して、お金が残る」善循環が回り始めるのです。特に、事業規模が10億円を超えるような会社や、社歴が30年・50年と長い会社ほど、この「財務のチカラ」が大きく発揮できます。
「売上をあげる」ことは、社員全員のチカラが必要ですが、「お金を残す」ことは、社長の決断一つでできるのです。したがって、まずは、社長自身がその事実に気づくことが最も重要なことなのです。ただし、当然ながら、そこには、絶対的な手順と見落としてはいけない幾多のチェックポイントが存在します。
それに、よく「財務」と聞くと、「数字に強くなければいけない…」「経理や会計の知識がないと…」「決算書の本をたくさん読んできたけどやっぱりツマラナイ…」とアレルギー反応を示される方が多くいらっしゃるのも事実です。
ですが、社長にとって最も重要なことは、「会社のお金の正しい判断基準」を持つことです。色々な算式を覚えて計算したり、難しい会計の仕訳を切ったり、決算書を作成したりするような能力を持つこと自体は、まったくもって社長の仕事ではないのです。
ダイヤモンド財務®コンサルタント
舘野 愛
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